ゴーストレストランはまずい?新しい飲食モデルの欠点とは

ゴーストレストランで注意すべきことが書かれている 開業
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飲食業界23年、現役料理長です。

今回はデリバリー業態の「ゴーストレストラン」について解説します。

新型コロナウイルスの影響で、都市部の飲食店を中心に「デリバリー業態への参入が不可欠」となりました。オーダー数を増やす施策として「ゴーストレストラン」も流行しましたが『ゴーストレストランは美味しくない』とウワサされています。

わたしの店舗でも、メインのお店とゴーストレストランで営業していますが、やはりゴーストレストランは料理の質が落ちる印象です。

そんなゴーストレストランについて、飲食関係者のわたしが内情をふまえて解説します。

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ゴーストレストランとは?

ゴーストレストランとは、電話あるいはネットからの注文のみに応じて「食事を調理しデリバリーするのを専門とする」ニューヨーク発祥の飲食店業態です。別名を「クラウドキッチン」「バーチャルレストラン」ともいわれます。

例えば

  • 店で営業してる業態は「アジアン料理」
  • ゴーストレストランとして「カレー専門店」
  • デリバリー業態で「アジアン料理」と「カレー専門店」を営業する

上記のようなイメージです。

カレー専門店はネット上には存在しますが「実店舗」はありません。なので「ゴースト」と呼ばれるわけです。

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ゴーストレストランは自宅でもできるのか?

実店舗を持たなくて営業していいのなら「自宅でも出来そう」な気がしますよね?

ですが、ゴーストレストランを開業するには「飲食店営業許可証が必須」になります。

飲食店営業許可を得るための条件

  • キッチンの構造・面積
  • 床・壁の耐水性
  • 充分な換気扇の大きさ
  • 照明
  • 水回りの設備(二層シンクなど)
  • 手洗い設備
  • 冷蔵庫・冷凍庫の設備
  • 保管庫(調理器具・食材を保管する扉付き棚)
  • 店舗用のゴミ箱

以上のような項目があり、すべての条件をクリアしないと「飲食店営業許可証はもらえない」ので、一般的な家庭のキッチンでは難しいといえます。

また、飲食店営業許可証だけでなく「食品衛生責任者の資格」も必要になります。

食品衛生責任者の資格とは?

食品衛生協会による講習(有料)を受講すれば、誰でも取得できます。

わたしのように「調理師免許取得者」は食品衛生についての筆記試験を経て免許を取得しているため、講習を受けなくても食品衛生責任者として登録できます(栄養士なども同様です)

店舗付き住居で、飲食店を営業しながらゴーストレストランを開業するのは可能です。1番効率がいいかもしれません。

ゴーストレストランのデメリット

お客様側と店舗側の両方の視点から「ゴーストレストランのデメリット」を考えてみます。

ゴーストレストランは印象が悪い

ゴーストレストランのデメリットは「世間からの印象が悪い」ことです

ある女性タレントさんはデリバリーで注文する時「まず実店舗があるかGoogle検索で探す」といわれてました。

実店舗がない「ゴーストレストランは美味しくない」という悪いイメージが定着しています。その背景には、ゴーストレストランは実在しない店舗なので「評判が悪くなってもすぐ止めればいい」という経営者の思惑が原因として考えられます。

ゴーストレストランとして営業しているすべての責任者が「悪い思惑がある」とは思いませんが、ゴーストレストランについて軽く考えている店舗は実際多そうです。

ゴーストレストランの悪評は実店舗にも及ぶ

軽い気持ちで開業したゴーストレストランの評判が悪くなると「ゴーストレストランを営業してる実店舗の信頼性」も問われます

経営者や店長などの根底にある考え方が「ゴーストレストランに反映されている」ともいえます。「金儲けさえ出来ればいい」そんな印象を受ける可能性があり、安易なゴーストレストラン参入は危険といえます。

「企業の本質は社会貢献」を忘れないようにしなくてはいけません。

ゴーストレストランが増えると優良店を探すのが大変

ひとつの飲食店が多くのゴーストレストランを展開すると「ネット上には多くの店舗が存在する」ことになります。その中から、お客様は「本当に上質なデリバリー店舗」を探さなければなりません。

玉石混交の店舗を見分ける方法として、先ほどの「実店舗があるか?」を調べるという方法がありますが、お客様は「デリバリー注文するのに疲れてしまう」のではないでしょうか。

その結果どうなるか?

デリバリーは「信用できる大手飲食店を選ぶ」

マクドナルドやケンタッキー・吉野家などの有名企業は「品質・コストパフォーマンスも高く信頼できる」からです

以上のように、ゴーストレストランが増えると、有名企業以外の飲食店にとって長期的に考えるとマイナスになります。

品質の悪いゴーストレストランを展開するくらいなら、実店舗である「本業の商品をレベルアップする」ことがデリバリー業態の中で生き抜く方法だと思います。

ゴーストレストランは違法?

実店舗が1つしかないのに「多くのゴーストレストランを展開」して法律的には大丈夫なのでしょうか?

保健所の見解では「飲食店営業許可証や店舗衛生責任者までが管轄」なので、そこをクリアしていれば違法にはあたらないようです。

ですが、ゴーストレストランが「違法に問われる形」も存在します。

ゴーストレストランは「優良誤認」になる可能性あり

優良誤認とは、提供している商品・サービスの品質を「実際より優れていると偽って宣伝する」などの行為を指し「景品表示法違反」にあたります。

例えば、多種多様なジャンルのメニューを提供するアジアン料理店が「カレー専門店」を謳って宣伝することは優良誤認にあたるわけです。

また、食品を提供する時に飲食店営業許可証が必要なのですが、1つの許可証で「本業とは別に専門店を名乗り出店することも適切な処置とはいえない」と弁護士のかたが問題視しています。

キッチンカーでは、1台の車ごとに各許可証が必要です。

キッチンカーの許可に必要な書類やトラブルを避けるための注意点

犯罪は『被害者側が訴えない』と問題になりませんが、近い将来ゴーストレストランの専門店表記は社会問題となりそうな予感です。

また、ゴーストレストラン自体が禁じられる恐れもあるので、飲食店のデリバリーの本質「美味しい・家庭では作れない珍しい料理を家庭に届ける」を目指したいところです。

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