キッチンカーの許可に必要な書類やトラブルを避けるための注意点

キッチンカーの許可について 開業
スポンサーリンク

飲食業界23年、現役料理長です。

今回は「キッチンカーでの許可」について解説します。

新型コロナウイルスの影響もあり「デリバリーとテイクアウト」のメリットを兼ね備えた「キッチンカービジネス」がのびています

しかしながら「キッチンカーの営業許可」は少し複雑です。

スポンサーリンク

キッチンカー許可を申請するのは保健所

キッチンカーで営業するには「営業許可証」が必要になります。

キッチンカーに必要な「営業許可証」

キッチンカービジネスを始めたい場合、キッチンカーを購入する前に「販売する予定の地域の保健所」に相談して下さい

なぜなら、キッチンカーの営業許可証は「商品を販売する地域の保健所で毎回取得する必要がある」からです。

また、都道府県単位ではなく「各市町村や地域の保健所」へ届出が必要です。

例えば、大阪府のなかの「大阪市と堺市」で販売する場合は、大阪市と堺市の「2つの保健所で許可が必要」ということになります。

営業許可証は「5年間有効」で、1つの許可につき取得費用は15000円前後になります

『営業許可証は申請すれば簡単にもらえる?』

営業許可に関する条件は「各地域により異なります」なので、最初に「販売したい地域の保健所で相談することが重要」なのです。

キッチンカーを購入する前に「何を販売したいのか?」を決めておかないと、営業許可を申請した段階で「購入したキッチンカーの設備では販売できない」状況があります。

営業許可の種類は「販売するメニューで細かく分かれている点にも注意」が必要です
スポンサーリンク

キッチンカー「販売メニューによる営業許可の種類」

営業許可の種類は、販売するメニューによって「食品営業自動車業と食品移動自動車の2つ」に大きく分けられます
  • 食品営業自動車業(調理営業)…自動車に施設を設けて、車内で調理・加工および販売する形態。生モノ提供不可
  • 食品移動自動車(販売業)…自動車に施設を設けて「移動して」食品を販売する

さらに、販売するメニューや形態により細かく分かれています。

食品営業自動車業(調理営業)の業種別許可

食品営業自動車業(調理営業)

  • 飲食店営業…焼きそば・サンドイッチ・カレー・弁当など。アルコール販売可
  • 菓子製造業…ケーキ・パン・クレープなど
  • 喫茶店営業…紅茶・コーヒーなどの飲料。かき氷・アイスクリームなど。アルコール販売不可

以上の3つに分かれています。

例えば、パンとジュースも販売したい場合は「菓子製造業と喫茶店営業」の2つの許可証が必要になります。

*2021年6月に食品衛生法が改正され「飲食店営業」許可証に1本化されました。あとで詳しく解説しています

食品移動自動車(販売業)

食品移動自動車(販売業)

  • 食料品等販売業…袋詰めされたパン。パック詰めされた弁当や惣菜など
  • 食肉販売業…包装された鳥獣の生肉など
  • 乳類販売業…包装された牛乳・乳飲料など
  • 魚介類販売業…鮮魚介類で生食用魚介類は「あらかじめ包装されたもの」に限る

以上の4つに分かれており「移動スーパーやコンビニがメインに取得する営業許可」となりますが、販売したい食品があるなら忘れずに申請しましょう。

キッチンカーにおける営業許可は「細かく分かれている」のでキッチンカーを購入する前に、販売する予定地域の保健所に相談することをオススメします。

キッチンカーの「営業許可は1台ずつ」必要

キッチンカービジネスを「複数の車で始める場合、各車に営業許可が必要」になります

これは、飲食店でも同様ですね。

1つの営業許可証を取得すれば「どのキッチンカーでも使える」わけではありません。

キッチンカーは移動するので難解なイメージを抱いてしまいますが「キッチンカー1台を1つの飲食店とイメージする」とわかりやすいです。

例えば、全国500店舗展開してる飲食店の営業許可証が1つのはずありません。各都道府県、各地域の保健所で営業許可証や「食品衛生責任者」も設置しなければなりません。

キッチンカーでも同様に「食品衛生責任者資格」が必要になります

キッチンカー「食品衛生責任者」資格が必要

「食品衛生責任者」とは、施設において食中毒や食品衛生法違反をおこさないように「営業許可を受ける施設ごとに1名以上置かなければならない」と全国で決められています。

調理師や栄養士など、国が認めた資格取得者は「食品衛生責任者」になれます。

一方で、調理師免許などが無くても各保健所で「食品衛生責任者講習を受講」すれば資格を取得できます

飲食店で独立するには『調理師免許が必要!』と思い込んでいる人が多いですが、実は必須ではありません。

キッチンカー「仕込み場所」にも許可が必要

先ほど「キッチンカーを1つの飲食店として考えましょう」とお話しました。飲食店の仕込み(食材を切ったり、加熱したり、ソースを作ったりなど)は飲食店内で行います。

キッチンカーの仕込みは「どこですればいいのでしょうか?」

キッチンカーの車内に「200ℓ程度の給排水設備を備えた状態で、営業許可を取得した場合」は仕込みができます(2021年6月以降の営業許可なら全国で可能)

詳しくは下記参照

https://www.mhlw.go.jp/content/11131500/000481107.pdf

しかしながら「キッチンカーの車内に充分な設備がない場合」は、車内での仕込みが禁止されています。

『自宅で仕込みしちゃダメなの?』

先ほど述べたように「自宅は飲食店」ではありません。充分な設備や衛生管理についても、自宅は許可を得ていないはず…「保健所から許可を得ていない場所」での仕込みは禁止されています。

それでは、キッチンカー内・自宅で仕込みできない場合は「どこで」すればいいのでしょうか?

仕込み場所を確保するには

  • 知り合いの飲食店に間借りさせてもらう
  • 居抜き物件などを借りる
  • シェアキッチンをレンタルする

以上の方法がありますが「知り合いの飲食店に間借りさせてもらう」のは少し危険。万が一、食中毒などがおこった場合「間借りした飲食店にも迷惑がかかる」恐れがあるからです。

以上のことから、キッチンカービジネスに参入するには「既存の店舗があり、更なる売り上げを狙うために販路を広げる」のが理想といえます。

キッチンカービジネスは『自宅で仕込んで、好きな場所で売ればいいから簡単じゃん♪』と軽い気持ちで始めると痛い目にあいます。

「キッチンカー・仕込み場所・売る場所」のすべてに許可が必要で、もちろんお金も必要になります。キッチンカー購入費と居抜き物件を借りて内装を整える・設備投資するなら、まず居抜き物件でしっかり経営すべきでしょう。

キッチンカー「道路使用許可」について

キッチンカーの営業許可証があるからといって「どこでも営業できる」わけではありません

「路上や公園」など出店場所によっては「道路使用許可」が必要になります。

例えば、路上で営業したい場合「警察から」道路使用許可を取得しなければなりません。

許可なく路上で販売行為をすると、道路交通法により「道路の不正使用」とみなされ、移動命令に応じない場合は「駐車違反の反則金」が課せられます。

お祭りなどの特別なイベント以外で「道路使用許可を取得できること」はほとんどありません。

また、公園で営業したい場合「国土交通省から許可を取得する必要」がありますがこちらも難しいでしょう。

なぜなら「道路や公園が存在する意味」とキッチンカーの営業の意味(利益を得るため)が、かけ離れてるからです。

人通りが多い場所だから『キッチンカーで簡単に儲かるじゃん♪』と考えるのは甘い考えであるということです。

キッチンカー「消防届出」が必要なときとは?

「お祭りやイベント」などでキッチンカーを使って営業する場合は、営業許可とは別に「消防届出」の必要があります。

一般的な飲食店でも、店内に消化器が設置されており消防署の検査が行われます。キッチンカーを1つの飲食店と考えれば、消防届出の必要性が理解できるでしょう。

お祭りやイベント・催し会場など「多数の人が集合する催し」に対して消防届出の必要を求められます

キッチンカー「仕込み不要な方法」ってある?

キッチンカーで営業したいけど『仕込みする場所がない。間借りして余計なお金を使いたくない…』

キッチンカーの仕込みができない状況なら「仕込みせずに販売できる食材」を発注しましょう。

仕込み不要な食材例

  • カット野菜(冷凍食品を含む)
  • 既製品(レトルト・冷凍食品など)

以上のような食材を使用すれば「仕込み不要」でキッチンカー営業が可能です。

「カット野菜」とは「あらかじめ切られた野菜」のことです。仕込みの「切る」という工程を無くします。最近は、冷凍技術も発達し「カットされた冷凍野菜」も多くあります。

「既製品」とは、あらかじめ串に刺された「冷凍焼き鳥」や「レトルトカレー」「冷凍のナンやピザ生地」など使えそうな食材があります。業務用スーパーで、多く取り揃えているので参考にできそうです。

キッチンカー「仕込み不要」のデメリット

料理において「仕込み不要」のデメリットは

  • 味がイマイチ
  • 他の料理と差別化するにはセンスが必要
  • 販売する意味があるのか?

キッチンカーで「仕込み不要」な営業では、以上のデメリットが考えられます。

生のカット野菜なら「味が極端に落ちることはありません」が、冷凍のカット野菜の味はやはり落ちます。

冷凍され日数が経っていることもありますが「解凍すると水分と同時に旨味も出てしまう」からです。加熱する時は冷凍のまま加えて「煮崩れさせない」など最高のポイントを理解する必要があります。

また「既製品」を使用する場合は、極端にいえば「家庭でも作れる料理」でもあり、ひと味違う「調理する人のセンスや料理知識」が問われます。

さらに、仕込みが充分でない料理を販売するという点で「社会に貢献できるのか?販売する意味があるのか?」も考えるべきでしょう。

「社会に必要ない・需要がないもの」は、多くの人に受け入れられないので、倒産するリスクが高くなります。

2021年6月「食品衛生法改正」によるキッチンカーの変更点

  • 2021年「6月以前」と「6月以降」の営業許可の混在になる
  • 菓子製造業・喫茶店営業の許可がなくなる
  • キッチンカーの「設備基準が全国統一」になる
  • 普通車と軽自動車の違いがなくなる
  • 非接触水道の導入
  • 2021年6月以前と6月以降の営業許可の混在になる

2021年6月に「食品衛生法」が改正されました。その結果、キッチンカーの設備基準が全国統一されたり、営業許可に関する点も変更されます。

他の法律改正の場合も同じですが、2021年「6月以前に認可された営業許可は現行どおり5年間有効」です。

2021年6月以降は、キッチンカー設備や営業許可に関して変更され当分は営業許可が混在する形になります。

菓子製造業・喫茶店営業の許可がなくなる

食品営業自動車業

  • 飲食店営業…焼きそば・サンドイッチ・カレー・弁当など。アルコール販売可
  • 菓子製造業…ケーキ・パン・クレープなど
  • 喫茶店営業…紅茶・コーヒーなどの飲料。かき氷・アイスクリームなど。アルコール販売不可

以上の「3つ」がありましたが、喫茶店営業許可などに申請する人がほとんどいないなどの理由で「飲食店営業に1本化」されます。

キッチンカーの「設備基準が全国統一」になる

キッチンカーの出店で『各都道府県を回りたい』とお考えの人には朗報です。

キッチンカーの設備基準が全国統一され「各都道府県の基準により営業できない」といったことが改善されます(営業許可は必要)

普通車と軽自動車の違いがなくなる

これまで、限られた都道府県では「普通車と軽自動車の違い」によって「必要となる設備基準が異なる条例」がありました。

しかし、キッチンカー設備基準の全国統一により「普通車と軽自動車の設備基準も全国統一」されます

その結果「普通車と軽自動車のメリットやデメリットが平均化される」といわれています。

「非接触水道」の導入

キッチンカーにおける「設備基準の大きな変更点」として「非接触水道の導入」があります

非接触水道とは、一般的な蛇口をひねって水を出すのではなく「蛇口を触らず水を出すタイプ」のものが必要になります。

なお、非接触水道は「手洗い槽の蛇口のみ」に対応していれば問題ないようです。

まとめ

今回は「キッチンカーの許可と注意点」について解説しました。

キッチンカー営業許可取得までの流れ

  • 保健所に事前に相談する(メニュー・出店場所・キッチンカーの設計図を元に「仕込み場所」についても相談)
  • 申請書類に記入し保健所へ提出
  • キッチンカー完成後、チェックの日程調整を保健所とする
  • キッチンカーを保健所に持ち込みチェックを受ける
  • 営業許可証の交付
  • 営業許可証をキッチンカー車内に提示し営業スタート

以上が「キッチンカー営業許可証を取得するまで」の流れになります。

食品衛生法が改正され「キッチンカーの設備基準や営業許可が統一された」こともあり分かりやすくなった反面、衛生面についてはかなり厳しくなった印象です。

「どのような商品をどのように売りたいのか」「どこで売りたいのか」「その為にキッチンカーにはどのくらい設備が必要なのか?」など、わからないことが多くあると思います。

なので、最初の段階で「保健所に相談する」ことをオススメします。

また、資金に余裕がある人で『色々と面倒くさい!早く動きたい!』そんな方は、キッチンカービジネス出店サポートを利用するのも1つの方法です。

LINEアカウント

現役料理長の飲食悩み相談Line

お困りの人のための あつまり

友だち追加

開業
スポンサーリンク
ten職レストラン