飲食業界23年、現役料理長です。
今回は「飲食店の残業時間と残業代」また、残業を認める「36協定」について解説します。
以上のような、お悩みを解決します。
私も以前「340時間働いて残業代なし」の経験があります。
- 以上の内容となります。
これを一緒に解説されるとわかりづらいので、当ブログでは「飲食業界のみの労働時間」で解説します。
それでは見ていきましょう。
目次
飲食店の労働時間(変形労働時間制)について
月176時間を超えると「残業」になります。
なぜ「週間や月単位の労働時間なのか?」
飲食店などの業態は、毎日同じ集客数・忙しさではないからです。
基本的に週末が忙しく平日はヒマなので「状況により労働時間の長さを変えていいですよ」というのが変形労働時間制です。
労働時間の長さを変えてもいいですが「週や月単位で定められた時間数でおさめましょう」というのが国の定める形です。
36協定締結(特別条項付き36協定)について
(先程の176時間+45=221時間)を超えたら違法行為ですが
「1ヶ月に60時間を超える残業を認める(繫忙期など年6回まで)」➡これが【特別条項付き】です(176時間+60=236時間~)
繁忙期など年6回とは?
年末年始・歓送迎会シーズン・ゴールデンウイーク・お盆などの繁忙期が考えられます。
残業時間の過労死ラインについて
1ヶ月に80~100時間の残業時間で恒久的に働かせてる企業は「業務上過失」に相当します。
経営者・店舗管理者のかたは気をつけてください。
労働者として「過労死ラインの労働を強制されている」なら今後について転職など考えたほうがいいでしょう。
*過労死ラインの労働をさせておきながら、残業代を払わない企業も存在します
残業代の割増賃金について
本来、基本給は「月176時間に対するもの」です
時間外労働の時間数×1時間あたりの賃金×1.25
時間外労働の時間数×1時間あたりの賃金×1.5(中小企業は1.25)
残業代だけじゃない「割増賃金の種類」
残業時間に適応される「割増賃金」ですが、割増賃金は残業だけでなく「休日出勤」「深夜労働」にも適応されます。きちんと支払われてるでしょうか?
- *「時間外労働に対するもの」は上記で説明しましたので解説を省略します
休日労働に対する割増賃金
「週に1回、又は4週に4回以上の休日を与えなければならない」と定められています。
例えば、ひと月に3回しか休みがなければ
休日手当として「基礎賃金の1.35倍以上」の賃金を支払う義務があります
深夜労働に対する割増賃金
深夜手当として「基礎賃金の1.25倍以上の賃金」を支払う義務があります
以上の解説で「残業代の割合」について、わかりましたでしょうか?
ややこしいですよね。
テンプレートを用意しましたので、私と一緒に「あなたが本来受け取るべき給料」を計算してみましょう。
飲食店の労働時間「残業代を計算する方法」
基本給から「あなたの時給を計算する」
わたしの基本給を仮に「17万6千円にします(わかりやすくするため)」
基本給176,000÷176時間(基本労働時間)=1,000円
わたしの時給です。
あなたはいくらでしょうか?
次に残業代を計算します
*あなたの会社の残業割合倍率は【就業規則で確認】しましょう
わたしは「先月300時間働いた」とします。
残業時間を計算します
総労働時間-基本労働時間=残業時間
300-176(基本労働時間)=【124時間残業した】ことになります。
割増賃金「1.5倍分の時間」を算出します
124-60(1.25倍分)=64(1.5倍分がこれになります)
*「0時間の可能性もあります」
会社規模により「1.25倍」の場合もありますので就業規則で確認
A 残業「60時間以内」の金額を計算します
60×1000(時給)×1.25=75000円 (60時間以内の残業代)
(残業時間が60時間以内ならば「60」を【当該数字】に変えてください)
例えば、残業時間が「40時間」なら「40×あなたの時給×1.25」となります。
B 残業「60時間以上」の金額を計算します
64×1000(時給)×1.5=96000円(60時間以上の残業代)
*残業時間が「60時間以内なら0」の場合もあります。1.5倍の割増比率は就業規則で確認(中小企業は1.25の場合あり)
総残業代を計算します (A+B)
75000+96000=171000円になりました(総残業代)
A+B=あなたの【総残業代】になります(Aのみの可能性もあります)
総支給額を計算します
176000(基本給)+171000=347000円になります。
【あなたの基本給】+【あなたの総残業代】=あなたの本来貰えるお給料
「あなたの本来貰うべきお給料」はいくらでしたか?しっかり貰えているでしょうか。
飲食店の固定残業代(みなし残業)について
わたしの給料明細書は【基本給】【業務手当】【料理長手当】【交通費】で構成されています。
どこにも「残業代」の記述がありません
「基本給は安易に下げてはいけない」ボーナスや退職金のベースとなる重要な金額です。
【手当】は業績不振や降格人事などで「簡単に外される」可能性があります。
明細書に残業代の記述がない場合、雇用契約を結ぶ際に「残業代は基本給に含む」という「固定残業代」のシステムで契約している可能性があります。
固定残業代とは?
固定残業代(みなし残業)が未払い残業代の原因
固定残業代制度を悪用し「残業代未払いや長時間残業」の原因になっています
以上のようなケースは、固定残業代が「何時間で額はいくらなのか?」まったくわかりません。
「何時間働いても給料は増えないですよ。残業代払いませんよ。」というのが企業の思惑です。
固定残業代の時間と支払額については「就業規則」に記載されてると思います。
しかし、ブラック企業側は「就業規則の存在」を社員に積極的に教えません(知られると都合が悪い企業ほど隠します)
固定残業制はダメな制度なのか?
ブラック企業の原因となる「固定残業制」なら『法律で禁止すればいいじゃん』と思われるかもしれませんが、固定残業制には「毎月の給料が安定する」という大きなメリットがあります。
また、残業時間が少ない場合は「お得」な制度といえます。わたしの例で解説します。
わたしの会社は【固定残業制】で【業務手当】として残業代が支給されています。
【残業代と明記していない】ところがポイントです。完全にブラック企業です(笑)
なぜ「わたしが辞めないのか?」
先月の労働時間は「190時間」でした
ほぼ定時(8時間労働)で働いて、それなりの額は頂いてます。飲食業界(上場企業を除く)にしては、少ない労働時間でしょう。
*固定残業制は「労働時間が少ないとお得」なのです(わたしのケースはかなり珍しいと思います)
あなたの明細書を確認しましょう
もし「残業代」の明記がなくても
常識的な残業時間数・お給料の額で、あなたが満足なら私のように訴える必要はありません。
わたしが許せないのは
「300時間前後」も労働させて、残業代未払いのようなケース(わたしも過去に経験済み)
過労死ラインを超えており、かなり悪質です。転職するか訴える準備をしましょう。
未払い残業代がなぜ発生するのか?
なので、あなたが残業代について『訴えます』と会社側に伝えても、会社が『はい。支払います』にはならないでしょう。
ブラック企業の自覚があるということは
なぜ、ブラック企業が「残業代未払い」を自覚して行うのか?
未払い残業代は「企業側の罰則が軽い」のが原因
なぜ、会社側が訴えられる状況で放置しているのか?
ブラック企業は意識して「残業代未払い」を仕掛けてるので許せません。
*株式上場企業は、訴えられた場合のリスクが大きい(株価が下がる)のでホワイト企業の可能性が高いです
《退社代行サービスのご案内》
残業代を計算して今の会社が嫌になり「すぐに辞めたい!」と思ったあなたへ
しかしながら、あなた1人で会社と戦うのは少し不安だと思います。労働契約書・就業規則などを使用し上手く説得されることも…
退社代行サービスは「1人で戦わないで済みます」し「法律のプロが味方」になるので安心です。
「退職代行サービス」を利用する時、雇用関係のトラブル(残業代未払い・パワハラ・セクハラなど)がある場合は「弁護士が運営する」専門の退職代行サービスを利用する必要があります。
「未払い残業代」請求前に準備すること
- 以上の準備ができたら、弁護士(残業代未払い請求の件に得意な)に相談するのがオススメ
- オススメですが「色々と準備」したり「会社とやり取り」するの面倒くさい…会社と対立しながら働けるだろうか…そんな不安もあるでしょう。
退職代行サービスなら「面倒なことを全て」お任せできます。
一人で戦うのは非常に危険です
先ほども述べましたが「企業側は必ず訴えられた場合の準備」をしています。企業と戦うのなら、ある程度の覚悟を持ち
「退職代行サービス」を利用しながら、転職サイトも利用し「次の仕事も決めておく」など戦略的に動きましょう。
*おすすめの転職サイトは記事の最後でご紹介しています
まとめ
「36協定」や「残業代」について、ご理解いただけましたでしょうか?
しっかりと理解し「正当な給料」をいただきましょう。
《未払い残業代請求をお考えのあなたへ》
- ①ご自身の現状と労働基準法を理解する(就業規則を確認する)
- ②訴えるなら「必要な書類」などを集めながら次のお仕事も考える
- ③未払い残業代請求の件に「得意な弁護士」に相談して一人では戦わない
- ④会社と対立し『ストレスを感じたくない』なら退社代行サービスを利用する
以上の流れが楽に退職できます
理不尽な企業では働かず、後輩のためにもブラック企業を無くしていきましょう。
あなたがブラック企業で働かないのは「社会のため」にもなります
最後までお付き合いいただきありがとうございました。