飲食店の労働時間と残業代36協定?誰でもわかるカンタン解説

飲食店の36協定 飲食から転職
飲食店の36協定
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飲食業界23年、現役料理長です。

今回は「飲食店の残業時間と残業代」また、残業を認める「36協定」について解説します。

  • 「残業しても残業代が貰えない…泣」
  • 「残業時間が給料明細書に記載されてないけど、実際の残業時間と残業代はどうなっているのだろう?」
  • 「36協定を締結すると残業代は貰えないの?そもそも36協定って何?」

以上のような、お悩みを解決します。

私も以前「340時間働いて残業代なし」の経験があります。

《この記事でわかること》

  • ①36協定とは「残業させてもいいが、残業代を払わなくていい訳ではない」と理解できる
  • ②あなたの残業代の計算方法がわかる
  • ③あなたが本来もらえる残業代込みの給料額がわかる
  • ④未払い残業代は「意識的に会社が払わないようにしている」ことがわかる
  • ⑤未払い残業代請求方法がわかる
  • 以上の内容となります。
順に解説していきますので、気になるところだけでもお読みください。
飲食業界と一般企業の労働時間は少し違います。

これを一緒に解説されるとわかりづらいので、当ブログでは「飲食業界のみの労働時間」で解説します。

それでは見ていきましょう。

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飲食店の労働時間(変形労働時間制)について

変形労働時間制

変形労働時間とは…1週間の7日で44時間働くこと

月176時間を超えると「残業」になります。

なぜ「週間や月単位の労働時間なのか?」

飲食店などの業態は、毎日同じ集客数・忙しさではないからです。

基本的に週末が忙しく平日はヒマなので「状況により労働時間の長さを変えていいですよ」というのが変形労働時間制です。

労働時間の長さを変えてもいいですが「週や月単位で定められた時間数でおさめましょう」というのが国の定める形です。

ですが、変形労働時間制の根本を守らず悪用し「ブラック企業が誕生する理由の1つ」になっています
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36協定締結(特別条項付き36協定)について

36協定特別条項付き

36協定を会社と従業員の間で締結すると「1ヶ月に45時間までの残業」が可能になります

(先程の176時間+45=221時間)を超えたら違法行為ですが

「1ヶ月に60時間を超える残業を認める(繫忙期など年6回まで)」これが【特別条項付き】です(176時間+60=236時間~

繁忙期など年6回とは?

年末年始・歓送迎会シーズン・ゴールデンウイーク・お盆などの繁忙期が考えられます。

36協定は「残業させることを認める」だけであり【残業代を払わなくてもいい】法律ではありません

残業時間の過労死ラインについて

残業時間の過労死ライン

1ヶ月に80~100時間の残業が「常習的に行われている状態」

1ヶ月に80~100時間の残業時間で恒久的に働かせてる企業は「業務上過失」に相当します。

経営者・店舗管理者のかたは気をつけてください。

労働者として「過労死ラインの労働を強制されている」なら今後について転職など考えたほうがいいでしょう。

*過労死ラインの労働をさせておきながら、残業代を払わない企業も存在します

残業代の割増賃金について

残業代の割増賃金について

本来、基本給は「月176時間に対するもの」です

176時間を超えた残業時間に対して「時間数に対して1.25倍の割増賃金」を支払う義務があります

時間外労働の時間数×1時間あたりの賃金×1.25

残業60時間から(月236時間~)は「時間数に対して1.5倍(中小企業は1.25倍)の割増賃金」を支払う義務があります

時間外労働の時間数×1時間あたりの賃金×1.5(中小企業は1.25)

*60時間を超える残業に対する割増倍率は「就業規則」で確認してください(会社規模により倍率が違います)

残業代だけじゃない「割増賃金の種類」

残業時間に適応される「割増賃金」ですが、割増賃金は残業だけでなく「休日出勤」「深夜労働」にも適応されます。きちんと支払われてるでしょうか?

割増賃金が必要な状況

  1. 時間外労働(残業代)に対するもの
  2. 休日労働に対するもの
  3. 深夜労働に対するもの
  1. *「時間外労働に対するもの」は上記で説明しましたので解説を省略します

休日労働に対する割増賃金

「週に1回、又は4週に4回以上の休日を与えなければならない」と定められています。

例えば、ひと月に3回しか休みがなければ

休日手当として「基礎賃金の1.35倍以上」の賃金を支払う義務があります

深夜労働に対する割増賃金

法律上「午後10時から翌午前5時までの時間帯は深夜時間帯」とされており、深夜時間帯の労働は深夜労働となります

深夜手当として「基礎賃金の1.25倍以上の賃金」を支払う義務があります

 

以上の解説で「残業代の割合」について、わかりましたでしょうか?

ややこしいですよね。

テンプレートを用意しましたので、私と一緒に「あなたが本来受け取るべき給料」を計算してみましょう。

飲食店の労働時間「残業代を計算する方法」

残業代を計算してみよう

基本給から「あなたの時給を計算する」

わたしの基本給を仮に「17万6千円にします(わかりやすくするため)」

基本給176,000÷176時間(基本労働時間)=1,000円

わたしの時給です。

あなたはいくらでしょうか?

あなたの基本給÷176時間=「あなたの時給」です

次に残業代を計算します

*あなたの会社の残業割合倍率は【就業規則で確認】しましょう

わたしは「先月300時間働いた」とします。

あなたの【総労働時間】は何時間でしょうか?

残業時間を計算します

総労働時間-基本労働時間=残業時間

300-176(基本労働時間)=【124時間残業した】ことになります。

あなたの【先月の総労働時間】-176=あなたの【残業時間】です

割増賃金「1.5倍分の時間」を算出します

124-60(1.25倍分)=64(1.5倍分がこれになります)

あなたの残業時間-601.25倍分)=1.5倍分の残業時間です

*「0時間の可能性もあります」

会社規模により「1.25倍」の場合もありますので就業規則で確認

A  残業「60時間以内」の金額を計算します

60×1000(時給)×1.25=75000円 (60時間以内の残業代)

60×あなたの時給×1.25=「60時間以内のあなたの残業代です」

(残業時間が60時間以内ならば「60」を【当該数字】に変えてください)

例えば、残業時間が「40時間」なら「40×あなたの時給×1.25」となります。

B 残業「60時間以上」の金額を計算します

64×1000(時給)×1.5=96000円(60時間以上の残業代)

60時間を超える残業時間×あなたの時給×1.560時間を超えるあなたの残業代です

*残業時間が「60時間以内なら0」の場合もあります。1.5倍の割増比率は就業規則で確認(中小企業は1.25の場合あり)

 

総残業代を計算します (A+B)

75000+96000=171000円になりました(総残業代)

AB=あなたの【総残業代】になります(Aのみの可能性もあります)

 

総支給額を計算します

176000(基本給)+171000=347000円になります。

【あなたの基本給】+【あなたの総残業代】=あなたの本来貰えるお給料

本来もらえる給料に
基本給・残業代にプラスされる「手当」
通勤手当(交通費)
役職手当(店長・料理長など)
休日手当
深夜手当
以上の手当などが加算されます。

「あなたの本来貰うべきお給料」はいくらでしたか?しっかり貰えているでしょうか。

飲食店の固定残業代(みなし残業)について

固定残業代について

わたしの給料明細書は【基本給】【業務手当】【料理長手当】【交通費】で構成されています。

どこにも「残業代」の記述がありません

「基本給は安易に下げてはいけない」ボーナスや退職金のベースとなる重要な金額です。

【手当】は業績不振や降格人事などで「簡単に外される」可能性があります。

明細書に残業代の記述がない場合、雇用契約を結ぶ際に「残業代は基本給に含む」という「固定残業代」のシステムで契約している可能性があります。

固定残業代とは?

固定残業代(みなし残業)が未払い残業代の原因

固定残業代(みなし残業)とは、企業が一定時間の残業を想定し「あらかじめ月給に残業代を固定で記載」し残業時間を計算せずとも固定分の残業代を支払う制度です

固定残業代制度を悪用し「残業代未払いや長時間残業」の原因になっています

例「基本給25万円(一部、固定残業代を含む)

以上のようなケースは、固定残業代が「何時間で額はいくらなのか?」まったくわかりません。

「何時間働いても給料は増えないですよ。残業代払いませんよ。」というのが企業の思惑です。

固定残業代の時間と支払額については「就業規則」に記載されてると思います。

しかし、ブラック企業側は「就業規則の存在」を社員に積極的に教えません(知られると都合が悪い企業ほど隠します)

固定残業制はダメな制度なのか?

ブラック企業の原因となる「固定残業制」なら『法律で禁止すればいいじゃん』と思われるかもしれませんが、固定残業制には「毎月の給料が安定する」という大きなメリットがあります。

また、残業時間が少ない場合は「お得」な制度といえます。わたしの例で解説します。

わたしの会社は【固定残業制】で【業務手当】として残業代が支給されています。

【残業代と明記していない】ところがポイントです。完全にブラック企業です(笑)

なぜ「わたしが辞めないのか?」

先月の労働時間は「190時間」でした

ほぼ定時(8時間労働)で働いて、それなりの額は頂いてます。飲食業界(上場企業を除く)にしては、少ない労働時間でしょう。

固定残業制なので「残業時間が少なくとも」満額をいただきます

*固定残業制は「労働時間が少ないとお得」なのです(わたしのケースはかなり珍しいと思います)

 

あなたの明細書を確認しましょう

【基本給】【残業代】がしっかりと明記されており金額も正しければホワイト企業です(上場企業など)

もし「残業代」の明記がなくても

常識的な残業時間数・お給料の額で、あなたが満足なら私のように訴える必要はありません。

許せない残業時間「過労死ライン」

わたしが許せないのは

「300時間前後」も労働させて、残業代未払いのようなケース(わたしも過去に経験済み)

過労死ラインを超えており、かなり悪質です。転職するか訴える準備をしましょう。

未払い残業代がなぜ発生するのか?

ブラック企業は、偶然ブラック企業になっているのではなく「ブラック企業と自覚して」未払いにしています

なので、あなたが残業代について『訴えます』と会社側に伝えても、会社が『はい。支払います』にはならないでしょう。

ブラック企業の自覚があるということは

「訴えられた時のことも想定してる」可能性が高いので、あなたもしっかり準備が必要です

なぜ、ブラック企業が「残業代未払い」を自覚して行うのか?

未払い残業代は「企業側の罰則が軽い」のが原因

なぜ、会社側が訴えられる状況で放置しているのか?

「未払い残業代について罰則(罰金)が軽い」ので、あなたに残業代請求されない限りは、罰則金よりも「残業代を支払うほうが高くつく」からです

ブラック企業は意識して「残業代未払い」を仕掛けてるので許せません。

*株式上場企業は、訴えられた場合のリスクが大きい(株価が下がる)のでホワイト企業の可能性が高いです

 

《退社代行サービスのご案内》

残業代を計算して今の会社が嫌になり「すぐに辞めたい!」と思ったあなたへ

退職願いの提出は「1~3か月前」というのが基本ですが「企業が法律違反している状況」で従う必要はありません

しかしながら、あなた1人で会社と戦うのは少し不安だと思います。労働契約書・就業規則などを使用し上手く説得されることも…

退社代行サービスは「1人で戦わないで済みます」し「法律のプロが味方」になるので安心です。

「退職代行サービス」を利用する時、雇用関係のトラブル(残業代未払い・パワハラ・セクハラなど)がある場合は「弁護士が運営する」専門の退職代行サービスを利用する必要があります。

弁護士が運営する退職代行サービス

一般的な「退職代行サービス」は『辞めることを会社に伝える』だけのことがあり、雇用関係のトラブルは解決してくれません(余計にもめる可能性があります)

「未払い残業代」請求前に準備すること

未払い残業代請求前に準備すること

未払い残業代「請求前に準備するもの」
  • ➀自身の労働時間を明らかにする証拠(タイムカードのコピーや画像・業務日報など)
  • ②就業規則の確認(固定残業制・管理監督者・変形労働時間制・裁量労働制などの項目の確認)
  • ③労働契約書や給料明細書(未払い残業代請求ができるのは2年分です)
  • 以上の準備ができたら、弁護士(残業代未払い請求の件に得意な)に相談するのがオススメ
  • オススメですが「色々と準備」したり「会社とやり取り」するの面倒くさい…会社と対立しながら働けるだろうか…そんな不安もあるでしょう。

退職代行サービスなら「面倒なことを全て」お任せできます。

一人で戦うのは非常に危険です

先ほども述べましたが「企業側は必ず訴えられた場合の準備」をしています。企業と戦うのなら、ある程度の覚悟を持ち

「退職代行サービス」を利用しながら、転職サイトも利用し「次の仕事も決めておく」など戦略的に動きましょう。

*おすすめの転職サイトは記事の最後でご紹介しています

まとめ

「36協定」や「残業代」について、ご理解いただけましたでしょうか?

しっかりと理解し「正当な給料」をいただきましょう。

《未払い残業代請求をお考えのあなたへ》

  • ①ご自身の現状と労働基準法を理解する(就業規則を確認する)
  • ②訴えるなら「必要な書類」などを集めながら次のお仕事も考える
  • ③未払い残業代請求の件に「得意な弁護士」に相談して一人では戦わない
  • ④会社と対立し『ストレスを感じたくない』なら退社代行サービスを利用する

以上の流れが楽に退職できます

理不尽な企業では働かず、後輩のためにもブラック企業を無くしていきましょう。

あなたがブラック企業で働かないのは「社会のため」にもなります

最後までお付き合いいただきありがとうございました。