飲食業界23年、現役料理長です。
今回は「働いてみたものの、想像以上に仕事がキツく、飲食店の社員を辞めたい」というお悩みです。
飲食店の正社員がきつくて「辞めたい」と思ったら、次のことをチェックしてください。
「あなたに飲食業界で働く適性がない」または「あなたが働いてるお店がブラック店舗」の可能性がある
飲食店で働くことが想像以上にキツかったら「チェックすべき2つ」について解説します。
目次
飲食店「1ヶ月で辞める」正社員の理由
『飲食店の正社員として働いて1ヶ月が経ったけど…もう辞めたい』
1ヶ月で仕事を辞めるのは、少し「恥ずかしい」「情けない」ように感じるかもしれませんが、飲食業界ではよくある話です。1ヶ月~3ヶ月ほどで辞める人も多いのが実情です。
以上が、飲食店で働き始めて「1ヶ月で辞めたくなる」理由として考えられます。
労働時間が長い・休みが少ない
「労働時間が長い」「休みが少ない」ことに関しては、労働基準法に定められた範疇であれば従うしかないでしょう。ですが、例えば「1日の労働時間が10~14時間」「休みが週1」などの場合は、労働基準法に違反してる可能性があります。
また、企業が従業員に対して「残業を何時間でもさせていい」わけではなく、労働基準法で定められています。
詳しくはこちらをご覧ください
ブラック企業で働き続けるメリットはありません。あなたの人生(時間)を奪われるだけ…働きはじめて1ヶ月でもすぐに辞めましょう。
プライベートの時間が無い・休んだ気がしない
「プライベートの時間が無い」のは「労働時間が長い」「休みが少ない」ことが原因です。
「休んだ気がしない」のは、労働時間が長く休みが少ないので「休日が休息」になり、遊ぶ気力すらなくなるからです。わたしも経験があります。
遊ぶ時間も気力も無くなると「人生がつまらない」と感じるようになります。
あなたの夢・目標を叶えるために「長い労働時間」「少ない休み」が必要なら頑張るしかないでしょう。ですが、労働時間に対して「得れるものが少ない」のであれば転職を考えたいところです。
想像していたより仕事がキツイ
飲食店の仕事は、基本的に「立ちっぱなし」「動きっぱなし」で時には「重たい調理器具や食器・食材」なども扱うため肉体労働です。
9時間労働の中で「1時間の休憩」がしっかり取れればいいのですが、店舗や企業により「食事したら休憩終わり」または「まったく休憩がない」こともあります。これもブラック企業です。
飲食店「向いてない」辞めたい
飲食業界に就職して働き始めると『飲食業界向いてない…辞めたい』と思う方は多いのではないでしょうか。飲食業界は特殊な業界なので「向いてない人」には厳しいでしょう。
そこで、何も知らずに「就職して失敗しないように」又は「転職をお考えの方に」飲食店の仕事に向いてる性格や適性を「ホールスタッフ」と「キッチンスタッフ」に分けてご紹介します。
飲食業界に「向いてる人」の逆が「向いてない人」なので最後に解説します。
飲食店ホールスタッフに向いてる人
以上が、飲食店ホールスタッフに向いてる適性です。
基本的に人と接することが好きで、良好な人間関係をつくるのが得意。企画力があり柔軟な発想で対応できる。体育会系のノリで、体力に自信があるのも重要なポイントです。
次に、飲食店キッチンスタッフに向いている適性について。
飲食店キッチンスタッフに向いてる人
以上が、飲食店キッチンスタッフに向いている人の条件になります。
自分の世界観やこだわりがありながらも、作品で他人を喜ばせたいという少し「芸術家」気質の人。料理は、論理的に構成されているので考えることが好きな人。学生時代に美術や家庭科などが得意だった、手先が器用・芸術が好きな人。
料理に「噓はつけない」ので素直な人。
キッチンスタッフは裏方で、ホールスタッフやお客様からの無理な要望にも応えなければいけない。料理が主役であり、自身は表舞台に立たない「自己犠牲の美学」がある人など。
ホールスタッフと比べると、少し内向的で「物事を考えるのが好きなタイプ」です。
次に、飲食店正社員に向かない適性について解説します。
飲食店「正社員」に向いてない人
以上が、飲食店正社員に「向いてない」適性になります。
飲食店は、一般的な人達が休みの「週末・盆暮れ正月・GW」などが繫忙期になるので飲食店正社員はほとんど休日を取ることが出来ません。
体力を消耗する仕事のわりには、みなし残業の影響もあり労働時間のわりには給料が安いので「損得勘定が強い人」には耐えられないでしょう。
新型コロナウイルスの影響からもわかるように、飲食業界は「外的要因で経営が脅かされる」ことが多く不安定な業界です。
また、毎日のお客様の「来店数や来店時間も不定期」で、安定した仕事スケジュールではないので自分のペースで仕事はできません。
ホールスタッフのサービスやキッチンスタッフの料理でも「お客様の好みにより変わる」ので、より良いものにするための「向上心が必要」で明確な答えがない仕事でもあります。
仕事に対して「受け身・指示待ち」していると、お客様を満足させるサービスや最高の状態の料理を提供できないので「自分で考え責任感を持って行動」しなければなりません。
以上のように「飲食店正社員としての適性がない・向いてない」場合は、飲食店で働くのがツライのではないでしょうか?
飲食店正社員の適性があるのに『現在の仕事がつらい』のは、あなたの働いている企業・店舗が「ブラック企業・職場なだけ」の可能性が強いです。
ブラック飲食店は「あなたが辞めなくても誰かは辞める」
飲食店で人手不足のお店は、わたしの長年の経験からみると「年中人手不足」です。年中人手不足になる理由は、店長や料理長またはオーナーが「なぜ正社員が辞めていくのか?」を理解していないからです。
企業の待遇や給料面の問題なのか、店長や料理長の人間性の問題なのか?正社員が辞めていく理由を理解しようとしない=ブラック企業の可能性が高いです。
ブラック企業やブラック店舗では、あなたが辞めなくても他の正社員が辞めていき、社員数が減るとますます辞めづらくなります。
なので、自分のなかで「もう限界」と感じたら早めに辞職願いを出しましょう。
なぜ「ブラック企業の飲食店はダメなのか?」を次に解説します。
ブラック企業の飲食店は改善されない
飲食業界大手で上場してる有名な企業でも、社員による内部告発により労働基準法違反が度々報道されています。何度となくニュースで報道されても、改善するつもりがないようです。
なぜなのか?
労働基準法を違反しても「残業代などを支払うより罰則金が安いこと」が原因です。また、古くから飲食業界にある根性論のような考え方にとらわれており、時代に追いついてない企業であるとも感じます。
オーナーや店長の考え方が変わらないかぎり、ブラック企業の飲食店が改善される可能性は低いです。
ホワイト企業は「決められた時間内で利益を出せる利益構造」をもっており、ブラック企業のオーナーや店長は経営力がないともいえます。
人件費をタダで働かせてると簡単に利益は出ます。逆にいえば、それしか出来ない。「利益構造がない・経営力がない」ブラック企業や店舗で働いてるのは「時間の無駄」です。将来性もないので、はやく辞めましょう。
飲食業界でもホワイト企業はある
先ほど紹介したブラック企業飲食店の影響で「飲食業界のすべてがブラックだ」と思われがちですが、飲食業界でもホワイト企業はあります。
わたし自身、ひと月174時間労働・完全週休2日制・残業代や有給休暇ありの飲食企業で働いた経験があります。全国規模の大手1部上場企業です。
「どこの飲食店でも同じだ…」そんな気持ちであきらめてませんか?
あなたが働いてる店舗が、飲食業界のすべてだと思わないでください。
転職エージェントサイトでも、ホワイト企業しか扱わないサイトもあるので、ぜひ活用したいところです。
飲食から転職「コロナの影響」について
飲食業界は人手不足でしたが、新型コロナの影響で状況が変わりつつあります。
- 都市部の飲食店が多く閉店したことによる人余り
- 時短・休業要請により人手の必要がない
以上のことから、飲食業界の人手不足は解消されていました。しかしながら、新型コロナウイルスの感染者が減少し12月の繁忙期を迎えることで「即戦力」の飲食店スタッフが求められています。
新型コロナの影響のなかで「飲食店の現場に必要なのは即戦力」です。
都市部のコロナ禍の状況で「若い世代を雇用して育てる余裕はない」ように感じます。
*ワクチン接種が広がり、新型コロナが収束に向かえば「20代の若い人材」が求められます
では、現在20代で「仕事に悩んでいる人」はどうすればいいのでしょうか?
仕事の悩みの種類にもよりますが、新型コロナの影響で「飲食店がブラック職場化」した場合、辞めることを考えましょう。新型コロナウイルスを理由としたブラック職場が増えています。
ブラック企業、ブラック職場、ブラック上司は改善されません。彼らにブラックの自覚はあまりないですから…早めに見切りをつけ辞めましょう。
ブラック飲食店は「辞めない」ほうがリスクが高い
飲食業界で20年以上働いてきましたが「多くの企業や店舗・業態・料理ジャンルを経験してる人」は強いです。
逆に「一つの企業・店舗でしか働いた経験がない人」は、他の企業や店舗の仕事についていけない可能性があります。
また、若い20代のころに料理技術や知識を教えられず、30代を迎えると仕事がありません。ブラックな店舗は「簡単な作業的調理」のことが多く、店の営業が忙しいわりに「技術が身につかない」のです。
飲食店で働いて『もう、次のステップに行こうかな…』そう感じたときは動くときです。ブラック職場ならなおさらのこと。辞めない理由がありません。
20代なら他の職種への転職も可能なので「飲食業界を続けるか?」「他の職種へ転職するか?」も考えるべきでしょう。
飲食業界を『やめてよかった』理由
わたしは20年ほど飲食業界で働いています。なので、飲食業界から「他の職種へ転職」した部下や先輩を見てきました。その中で『やめてよかった』他の職種のメリットをご紹介します。
それぞれ解説します。
労働時間が短くなった(残業が減った)
飲食業界を離れ最初に実感するのは「1日の労働時間の短さ」のようです。
飲食業界では、ランチからディナー・深夜営業もあり「12時間労働」が当たり前のような風潮があります。
しかしながら、飲食業界のような「お客様の来店を待つ」営業ではない職種へ転職すると、1日の仕事量がある程度決まっています。
例えば、道路工事の「警備員」などは、1日の工事ノルマが終了するとその時点で帰宅できるようです。
1日の仕事量が安定し、未経験から挑戦できて「残業が少ない」業界をご紹介します。
休日が増えた
飲食店によっては「月に休み5回」などがあり、平気で労働基準法違反してきます。
一般的な職種は「完全週休二日制」で祝日も休み。加えて「有給休暇」を使うことも義務付けられています。
*飲食業界でも大手上場企業は「ホワイト企業」であることが多く労働基準法に準じています。なので、完全週休2日制・有給休暇を義務付けています「ブラック企業の飲食店で働くと損する」ことが理解できると思います。
出会いが増えた
飲食業界は労働時間が長く休日も少ないので疲れており、休日は「休息日」になることが多いです。
また、一般的な職種の人は週末が休日なのでパートナーや友人とスケジュールが合わないこともよくあります。その結果、飲食業界で働く人は「未婚率が高い」「ギャンブル」のような1人で遊べることを選ぶ傾向にあります。
時間や金銭的な余裕があれば、趣味を楽しむこともできて「共通の趣味」から出会いが増えます。
当サイトではいつも伝えていますが「時間=人生」です。失った「時間」は二度と戻りません。ブラック企業に搾取されている場合ではないのです。
給料が上がった(労働時間に対する給料が増えた)
飲食業界の給料が安いのは「初任給」が関係しています。
初任給が低い設定で入社してしまった方は、残念ですが役職(店長・料理長など)に就かないかぎり給料が大幅に上がることはありません。
飲食業界では「ボーナスなし」の企業が多いので「ひと月の給料額」が非常に重要になります。
*ホワイト飲食企業時代は「年間で10,000円」昇給していました(上司による査定あり)
飲食業界から他の職種へ転職して「給料が上がった」と感じるのは「労働時間に対する給料」という面もあります。
例えば「労働時間が300時間で20万円」と「労働時間が200時間で20万円」では、1時間あたりの給料が全然違います。
以上のように「同じ20万円」でも労働時間により価値は違います。
さきほども述べたように「時間=あなたの人生」です。あなたの時間(人生)を大切にしてくれる企業で働きましょう。
初任給を高い設定にしてもらうには「紹介で入社する」ことです。知人や先輩の紹介、転職エージェントによる紹介を利用しましょう。
初任給を高くしてもらうには「仕事に対する実力」がもちろん問われますが、仮に実力が足りなくても「企業は、基本給を理由なく下げてはならない」と労働基準法で決められています。なので、初任給の額が重要なのです。
まとめ
今回は、飲食店の正社員が「予想以上につらかった場合辞めるべきか」について解説しました。
飲食店で働く最大の理由は「やりがい」です。
なぜなら、飲食店で働くと「労働時間が長い・休憩が短い・休みがとれない・給料が安い・肉体労働である」など「ツライ状況」になることが多いからです。
飲食店の仕事環境である「ツラサ」を上回る「やりがい」で、わたしは長年飲食業界で働いてきました。
ブラック企業や職場・上司のもとで働く必要はありません。今の企業や店舗・上司が
「飲食業界のすべて」だと思い込まないでください
あなたに適した職場は必ずあります。
また、「飲食業界が合わないな」と感じたら、若いうちに違う職種に転職すること。25歳を超えて違う職種に転職するのは選択肢が少なくなります。
この記事が、あなたのお役に立てれば幸いです。