飲食業界23年、現役料理長です。
今回は、飲食店でよくある「酔っ払い」について解説します。
まずは、酔っ払いの特徴や種類を理解しておきましょう。
目次
酔っ払いの「特徴・種類」について
一言で「酔っ払い」といっても、各人によりお酒の強さが違うように「酔っ払いかた」も違います。
また、酔っ払いが現在『どのような状態か?』を把握することが、事を大きくせずに済む解決策でもあります。
「酔っ払いの特徴と種類」を理解しておきましょう。
ハッピーな酔っ払い
酔っ払うと「よく笑う・声が大きくなる」人です。
一見すると害のない酔っ払いに見えますが「何かをキッカケに豹変」する可能性があり、少し注意が必要です。普通に接していれば害はないでしょう。
寂しがり屋な酔っ払い
酔っ払うと「静かになったり、独り言が増える」タイプです。
涙もろい面もあり、私生活で何かあった可能性があります。
「寂しさ」が動機で来店しているので、邪険に扱うと騒ぎ出すことも…なぜなら、騒いだり他のお客様に迷惑をかけると相手をしてくれるからです。
寂しがり屋タイプの「1人での来店」は注意して下さい。寂しさが原因で、かなりお酒を飲み泥酔して大声で騒ぎはじめ、実際に警察を呼ぶことになった経験があります。
哲学的な酔っ払い
酔っ払うと「人生について語り始める」タイプ。
基本的に害はありませんが、中々帰りません。
破壊力のある酔っ払い
「飲み物をこぼしたり、お皿を落として割ったり」客席に近づくたびに絡まれます。かなり泥酔しており、本人は記憶がないのではないでしょうか。
一緒に飲んでいる人達に任せるしかありませんが、なるべく近づきたくない存在です。
お世話係な酔っ払い
酔っ払ってる人達の状況を把握しており頼りになります。
お店側にとって助かる存在なので、愛想よくして味方につけておきたいところです。
お金持ちな酔っ払い
本当にお金持ちの方は泥酔しませんが、時に太っ腹な酔っ払いの方がいます。
例えば、BARで皆んなの分を奢ったり、店員さん皆んなの分を奢ってくれます。
お店に対してクレームを直接言うことはありませんが、ある日を境にパッタリ来店しなくなる傾向にあります。
お説教好きな酔っ払い
「仕事ができたり役職についてる人」は、飲みの席でお説教することが少ない印象です。
なので、お説教タイプの酔っ払いは「役職につけていない、または普段の仕事や生活でストレスを多く抱えている」人が多い印象です。
1度火がつくと逃れることが難しく「捕まると大変なタイプ」です。
永遠にお酒を飲む酔っ払い
永遠にお酒を飲む酔っ払いは「お酒が強く」あまり酔っ払っていませんが、リミッターを超えると「どのタイプの酔っ払いに変貌するかわからない」少し危険なタイプといえます。
お店にとっては売り上げが上がるので「良いお客様」でもあります。
以上のように、酔っ払いの中でも色々なタイプがあるので参考にしてみて下さい。
一方で、リーダー格の人の酔い方がひどい場合は「抑えが効かない、または同じグループの人達も悪酔いし始める」など注意が必要なグループといえます。
「うざい酔っ払い」の対処法
お酒の席は「本来楽しいもの」なのですが、お酒の量が進むと「うざい酔っ払い」に豹変することがあります。
酔っ払いの段階的に「対処法を変える」必要があるので解説します。
酔っ払い対処法・一緒に楽しむ
酔っ払いの「初期段階」は楽しいお酒の席です。
この状況のときは「まだ理性がある」ので、しっかり接客しましょう。会話などで「一緒に楽しみ」リーダー格やお世話係の酔っ払いタイプと仲良くなっておけば、後々助けてくれることがあります。
酔っ払い対処法「逃げる」
お酒が進み「目が座る」とかなり酔っ払っています。そうなると理性がほとんどなく抑えが効かなくなり「何がキッカケ」で急に怒ったり、絡まれたりするかわかりません。
最低限の接客に留めて「早々に」立ち去りましょう。
酔っ払いに「絡まれた」時の対処法
「泥酔状態や目が座って絡んでくる」酔っ払いの対処法は「逃げること」が1番です。
ですが「逃げる前に捕まってしまった場合」の対処法を解説します。
酔っ払いには反論せず話を聞く
先ほども述べたように「泥酔状態・目が座るほど酔っ払ってる人」は理性が失われているので、どのような言葉を返しても絡んできます。
反論せず話を聞いている状況で「他のお客様に呼ばれたフリ」や「インカムで呼ばれたフリ」などをして、その場から立ち去りましょう。
1度絡まれたスタッフは「その席に近づかない」のもポイントです。
店長や社員に報告相談する
泥酔状態の酔っ払いをアルバイトが処理するのは「かなり難しい」です。
また、アルバイトが「可愛い・綺麗」や「気に入らない」など、なにかしらの理由で酔っ払いは店員に絡んでるので、店長や社員のチカラが必要となります。
酔っ払いが面倒なときは「店長や社員に相談」
アルバイトとして飲食店で働き、酔っ払いに絡まれて面倒なときは「必ず店長や社員」に相談しましょう。
また、社員や店長の立場の場合は「絡まれたスタッフをその席の接客をさせない」「近づかせない」など対応し自らが接客しましょう。
酔っ払い対処の「最終手段は警察を呼ぶ」
社員や店長として、酔っ払いに対してあらゆる対処をしても改善されない場合「事を大きくしたくない」でしょうが警察を呼ぶのをオススメします。
他のお客様に迷惑が掛かる場合は、とくに早い対処が必要です。
わたしのお店で実際にあった事例をご紹介します
お客様は1人で来店。来店時から少し酔っ払ってる雰囲気でした。お酒が進むにつれ「大声を出す」ようになったり「食器やグラスを落として割ったり」と他のお客様に迷惑が掛かる状況になりました。
酔っ払ってるお客様に『このままでは警察を呼ぶ』と警告
それでも状況は変わらず『警察を呼んでみろ!』と言う始末…
警察を呼んでお会計をすることになったのですが、所持金がほとんどなくお金が足りませんでした。
この状況で、うちのお店が警察を呼んでいないと、また他の店で同じことを繰り返していたでしょう。
「少し様子がおかしい酔っ払い」の場合は、とくに早めに警察を呼ぶことが重要です。
酔いつぶれた人の介護方法も知っておこう
「酔っ払い」は周りに迷惑をかけることがありますが、その多くは生命の危機にはつながりません。しかしながら、「酔いつぶれた人」は適切な対処法を知らないと命を失う危険をともないます。
酔いつぶれる人と遭遇する機会が多い飲食店従業員として、酔いつぶれた人の介護方法を知っておきましょう。
酔いつぶれた人は、歩行可能でも1人にしないでください。転落・水死・凍死・交通事故などの危険があります。
また、「起き上がれない」ほど酔いつぶれた人は、絶対に1人にしてはいけません。吐しゃ物の逆流による窒息死を防ぐため横向きに寝かせましょう。
吐きそうになった場合も抱き起さず、横向きの状態で吐かせます。
酔いつぶれた人に付き添うのは、共に来店した友人・知人になることが多いと思いますが、適切な対処が出来ていない場合は、シラフである飲食店従業員が対処指示してあげて下さい。
また、次の症状がみられる場合は救急車を呼びましょう。
急性アルコール中毒死の原因には「呼吸麻痺」も存在します。呼吸の様子がおかしい場合、すぐに救急車を呼びましょう。
急性アルコール中毒について詳しくはこちらをご覧ください
多くの人が集まる飲み会は楽しいものですが、テンションがあがり「一気飲み」のような急激にアルコールを摂取することはやめましょう。
また、飲食店従業員として「一気飲み」を禁止するのは「お客様の命を守るため」であると、飲食店従業員、お客様ともに理解することが重要です。
まとめ
今回は「飲食店の酔っ払い」の対処法を解説しました。
以上のように「酔っ払いのタイプ」を理解しておくことが大切です。
以上のように「うざい酔っ払いの対処法」がありますが、最強の対処法は「逃げる(関わらない)こと」です。
以上のように、酔っ払いに絡まれた場合は「反論せず話を聞いて」他のお客様に呼ばれたフリなどをして、その場から立ち去り、店長や社員に報告相談しましょう。
店長や社員の立場なら、絡まれたスタッフを「その席に近づけない、自らが接客する」など対処しましょう。
「大ごと」にしたくないと「警察を呼ばないこと」が、大ごとになる可能性が高いからです。
わたしの経験から述べたように「無銭飲食」のような場合は、遅かれ早かれ警察を呼ぶ結果になっていたでしょう。
お店のスタッフやお客様に迷惑が掛かる状況で「店長や社員がどのように対処するか」は、その先のお店の営業に関係します。
酔っ払いへの対処は「店長や社員が試されるシチュエーション」ともいえるでしょう。