飲食業界23年、現役料理長です。
今回は「板前になるための修行心得」について。一人前の板前になるには「ある程度の覚悟」が必要です。
以下の「板前修業の心得」について解説します。
目次
板前の修行は厳しい
一人前の板前になるには「10年必要」といわれており、簡単に誰でもすぐになれるわけではありません。
板前修行の下積み時代
板前だけでなく、ホテルや有名料理店に新人で入社すると「下積み時代」を経験します。
仕込み中心で「あなたが思い描いていた仕事内容」ではないかもしれません。しかしながら、下積み時代に包丁や手の使い方を感覚的に覚えます。
下積み時代は、洗い物をすることが多いですが、そこで手の感覚を身につけます。また、優しい先輩なら鍋に少しソースを残してくれるので、見えないように「素早くペロッ」と舐めて味を勉強できたりするのです。
自分の意思に合わない仕事内容はつらい
下積み時代だけでなく、ポジションを任され料理長やオーナーの信用を得れないかぎり「自分の意思」が仕事に反映させれることはほとんどないです。
与えられてる仕事の意味を理解できる人は、どんどん次のステップに進んだり、先輩に可愛がられたりします。
板前のみならず、調理師は「技術職」なので、自分から「技を身につける姿勢」が必要になります。受け身で働く人にはつらい環境となるでしょう。
板前修行を我慢するなら辞めたほうがいい
「仕事とは、なりたい自分に近づくためにするもの」
10年我慢したからといって「スーパー料理人」になれる保証はありません。さらに、料理人は年齢を重ねると共に求人応募段階ではじかれます。
「なりたい自分の為に我慢する」ことは可能だと思います。なぜなら、その我慢はあなたに必要なことだから。
逆にいうと、板前修業を続けるには「あなたの明確な目標が必要」ということです。例えば「独立して自分のお店を持つため」「技術を身につけて、どこかのお店で高給をとるため」など。
一人前の板前になるまでは給料が安い
板前修行の最初の段階「追い回し」の「平均年収は約150万円」といわれています。
その後、ステップアップして次の持ち場を任されるようになっても「平均年収は約280〜310万円」といわれており、板場まで辿り着かないと給料は上がりません。
和食修行の順番と板前の階級について
和食料理店で板前を目指すのに「目標が明確」であった方が頑張れるとさきほど述べました。
板前は持ち場の階級があり、今のポジションをマスターすれば上にあがりやすくなります。今のポジションで与えられてる仕事を早くマスターし、上のポジションを目指すことが分かりやすい目標となります。
以上のように「追い回しから始めて板前」を目指します。板前さんは、現在では「和食料理の従業員」を総称しますが、本来は名乗ることが許されるのは限られた人だけでした。
和食修行の順番と階級を心得て「どのポジションでどんな仕事をするか」も知っておくといいでしょう。
詳しくはこちらもご覧ください
板前修行は女性でも可能?
板前に男性が多い理由として、過酷な修行と労働環境があげられます。
板前になるまでには「何年もの修行期間」を必要とし、とくに「最初の数年間は早朝から深夜まで」先輩の下で修行しなければならず、多くの精神力と体力が必要です。
しかし最近では、飲食業界の人手不足から「女性の受け入れにも寛容」になってきました。
男女問わず、長く働きやすく育児休暇を設けたり「女性の板前だけで営業する店舗」もあります。
女性板前の「強み」について
女性板前の強みは、板場までの修行を終え「カウンターに立って板場の業務をする時」です。
余談ですが、最近のアルバイトでは女性で優秀な方が多く、男性は少し注意すると仕事を辞めてしまうなど「精神的に弱くなっている」印象です。
板前修行は無駄?
ホリエモンこと堀江貴文さんの「寿司の10年修行不要論」で「板前や調理師の修行は無駄ではないか?」ということが話題になりました。
飲食人大学は、寿司や和食の基本を3ヶ月でマスターできるというもので、卒業生がミシュランの星を獲得して話題となりました。この「板前修行は無駄論争」ですが、個人的には「修行を少しでも経験することに意味はある」と思います。10年必要とは思いませんが…
また「3ヶ月でマスターできる人・3年・5年・10年かかる人」など、それは各人のセンスや考え方、要領の良さなどが関係してきます。何回教えても出来ない人はいますし、1つ教えれば2つ3つ理解できる人もいます。
自分で「やってみて否定する」のは良いと思いますが、やらずに否定するのは「本質を理解できていない」可能性があります。
ササっと独立出店してお金儲けがしたい人は、料理の基本を身につけて「経営の勉強」をした方がいいですし「職人さんを雇用する」のも1つの手段です。その場合、10年の修行は無意味となります。
まとめ
今回は「板前修行の心得」について解説しました。
現在は、企業によって運営されてる和食店舗では「10年修行」のような概念が無くなりつつあります。
各式のある割烹や日本料理店で修行できるのは「今のうち」かもしれません。
板前修業に挑戦したい方は「格式のある日本料理店」へ『10年修業は無理かも…』という方は「企業が運営している日本料理店」で働くことをオススメします。
格式のある割烹や日本料理店で働くには、調理師専門学校に入学し紹介してもらうのが一般的です。
和食の勉強をするなら専門学校?下積み?みんなが通ってきた道は
企業が運営してる和食店は「転職サイト」でチェックしましょう。