飲食業界23年、現役料理長です。
今回は「板前の持ち場の修行年数や年収」について解説します。
まずは「板前」について詳しく解説します。
目次
板前とは
板前の「平均年収は約340万円」といわれており、一般的な調理師とほとんどかわりません。ですが、追い回しや下積みなどは「生活費ほどしか給料が貰えない」ことで有名な話です。
飲食業界では有名な話ですが、世間に公表されることはまずありません。
なぜなら、おもいっきり労働基準法違反だからです
皆さまのお声を少しご紹介します。
最後の方やばそうですね🤔
自分も新卒の時は淡路島にある旅館で板前してたんですけど、月327時間労働で給料が200時間までしか出なくて手取り11万だったことあるんですけど
それ並にしんどそうですね🤔
— わだつみ/ゼルビス (@wadatsumi1994) May 17, 2021
飲食業の世界でも調理師(コックも板前も)になる方が激減しています。昔に比べて福利厚生などは随分と良くはなってきましたが、専門職としての給料は低い方だと思います。調理業界が変革しなければならない時期に来ていると思います。
— 永田淳司 (@Maruyama55) February 19, 2021
板前のトップである「花板」や、何かしらの役職につかないと年収は上がりません。これは、一般的な調理師でも同じです。
『一般的な企業並みの暮らしがしたい!』『お給料がほしい!』とお考えの方に、板前や有名店で修行することはオススメしません。
なぜなら、すぐ辞めてしまうからです
一般的な企業並みの暮らしがしたくて、飲食業界で働きたいなら「ホワイト企業の飲食店」をオススメします。また「お給料が多く欲しくて」飲食業界で働きたいなら「出店が増えて業績が上がってる途中の飲食店企業」をオススメします。
次に「板前のポジション」について解説します。
板前の「持ち場」について
1人前の板前になるには「10年必要」といわれています。各ポジションで日本料理を学びながらステップアップしていきます。各ポジションの仕事内容と平均年収もお伝えします。
板前の持ち場「追い回し・下積み」
全体的な仕事の準備に関わりながら「店での仕事の動き」や「料理を提供するための段取り」など、先輩の仕事を見ながら学びます。
お客様に料理を提供することはありませんが「まかない作り」を担当することが多く、まかない作りで料理を覚えていきます。
日本料理の世界では「下積み3年」といわれていましたが「1〜2年で次のステップ」に進む店舗もあるようです。
「追い回し・下積み」は「盛り付け」と給料が同じくらいなので後でお伝えします
板前の持ち場「八寸場・盛り付け」
「八寸」とは懐石料理の言葉で、八寸(約24cm)四方の「杉のへぎ木地の角盆」に盛りつけられた料理のことをいいます。
直接料理する機会はまだありませんが、お客様に提供する料理に関わります。美しい盛り付けを身につけることで「日本料理の基礎」を学びます。
板前の持ち場「焼き場・揚げ場」
加熱する料理は「火の通り具合で味が大きく変わる」ため、ベストな火加減やスムーズな仕事の流れなど「技術とスピード・火加減」を身につけます。
焼き場・揚げ場になると「下積みを抜けた」という認識になり給与も上がります。
次に説明する「椀方」までが同じような給与なのであとでご紹介します。
板前の持ち場「蒸し場・煮方・椀方」
「蒸し場・煮方」では、食材の入荷状況や献立により頻繁にメニューが変わるため、どんな状況にも対応できる柔軟性と日本料理の深い知識が必要になります。
また、調理場全体を見る立場で、調理場の業務進行や下積みの若手育成など調理以外も担当します。
板前の持ち場「板場」
板場とカウンターが一緒になっているお店では、調理するだけでなく「お客様を楽しませる会話・サービス・コミュニケーション能力」も必要です。
板前として経験を積んだのち、板場全体を取り仕切るトップを目指します。板前のトップは「板長・立板・花板」など色々な呼び名があります。
まとめ
1人前の板前になるには「10年かかる」といわれています
下積みが「1〜3年」その後のポジションも同じようにマスターしランクアップしていくイメージです。
しかしながら「本当に修行10年は必要なのか?」と飲食業界の古い体質が問われています。
調理技術や基本知識だけをマスターするのに「10年」は必要ないかもしれません。ですが「職人の心を継承する」には10年が必要な気もします。
1人前の職人になった後も「料理の学びは終わることがなく」進化し続けます。
板前修行は「きつい」といわれています。その道に進むなら、給料などに囚われず『絶対に日本料理をマスターしてやる!』という強い気持ちが必要でしょう。