飲食業界23年、現役料理長です。
今回は「ふぐ調理師免許」について解説します。
自分で捌いて食べる分には「無免許でも可能」ですが厚生労働省からは「止める」ように警告されています。
また、ふぐ調理師免許試験を受けるには「調理師免許」が必要です。
その辺りも詳しく解説します。
目次
ふぐ調理師免許とは
ふぐ調理師免許とは、ふぐ条例に基づき都道府県知事が行う「ふぐ調理師試験において所得される免許」です。
都道府県によっては「ふぐ包丁師・ふぐ取り扱い者・ふぐ処理師・ふぐ調理士・ふぐ取り扱い登録者・ふぐ調理者」など呼ばれ方はバラバラです。なぜなら、ふぐ調理師は「国家資格ではない」からです。
*当サイトでは「ふぐ調理師」で統一します
転職などの理由で、他府県でふぐ関連の仕事に就職し「ふぐ調理師免許」が必要なら、当該都道府県で「もう一度ふぐ調理師免許を取得する」必要があります。
ふぐ調理師免許を取得できる年齢とは
ふぐ調理師免許の受験資格では「年齢不問」となっています。
ふぐ調理師免許試験を受験するには「まず調理師免許を取得する」必要がありますが、調理師養成施設なら調理師免許取得前にふぐ調理師免許を受験できるようです。その点もふまえながら、最も若くて何歳でふぐ調理師免許が取得できるか考えてみましょう。
「最も若い年齢なら16歳」で、ふぐ調理師免許を取得することが可能です。
ふぐ調理師免許の難易度について
「講習において受講資格を定めていない」又は「受講後に試験がない」地方公共団体もあり、全日本ふぐ連盟は国に対して再三「日本全国で統一した制度」を求めています。
以上のことから、ふぐ調理師免許を取得する試験の難易度は「各都道府県の試験や講習などにより違う」といえます。
都道府県によっては簡単に取得できるふぐ調理師免許ですが『ふぐ免許簡単に取れてラッキー!』ではなく、もしあなたのふぐ料理で「お客様の体調を損なう」ことがあれば業務上過失で逮捕されてしまいます。
後で詳しく解説しますが「ふぐには猛毒がある」ので取り扱いに細心の注意が必要です。
ふぐ調理師免許の「都道府県別」難易度について
ふぐ調理師免許は国家資格ではないので、各都道府県により取得難易度が異なります。
難易度が高いのは東京都
厳格な「筆記試験」と「実技試験」を実施しています。人口が多く、飲食店が多いのも関係していると思われます。
以上の2つですが、先ほど述べたように「ふぐ調理師免許は他県で使い回すこと」は出来ません。
以上のことから、各都道府県別のふぐ調理師免許取得に関する難易度を調べても「あまり意味はない」といえます。
一応こちらに各都道府県の違いをご紹介します
ふぐ調理師免許はいらない?
ふぐを私的な範囲で料理するなら「免許は必要ない」といわれています。私的な範囲とは「自分自身が調理し食べる」ということ。
ご家族や友人に無免許でふぐ料理を振る舞うのは禁止されています
ふぐの体内には「テトロドトキシンという猛毒があるから」です。その毒性は、青酸カリの850倍にも相当するもの…命を落とすかもしれません。
ちなみに料亭やふぐを扱う飲食店では、ふぐの内蔵など「とくに毒性の強い部位は、箱に鍵をして保管する」などの決まりがあり「廃棄するのも専用の業者を利用する」など安全策がとられているほどです。
これは、調理師免許と同じく「管理者の1人が免許を所有」し監督すれば、他のスタッフは免許を持ってなくてもお客様に料理を提供できます。
おそらく、ふぐ調理師免許取得者が「ふぐの下処理」をして、毒性の強い部位を掃除してから、他の免許のないスタッフが調理していると思われます。
このように、ふぐ調理師免許は「役立つ場面が限定的」であり「誰しもが免許取得する必要はない」といえます。
また「ふぐ料理専門店や、ふぐを扱う高級飲食店が少ない」「高級食材なので利用するお客様も限定されている」などの背景もあり、ふぐ調理師免許が国家資格となり「全国的に統一されない理由」であると考えられます。
まとめ
今回は「ふぐ調理師免許」について解説しました。
以上が、ふぐ調理師免許についてのまとめになります。
ふぐは自分で食べるには免許を必要としないですが、厚生労働省からは止めるよう警告されています。
取り返しがつかない猛毒なので、自己判断で勝手に調理するのはやめましょう。
進学をお考えの方は調理師専門学校に通い、調理師免許とふぐ調理師免許を取得するのが効率的です。