飲食業界23年、現役料理長です。
今回は「和食を勉強するなら専門学校か?格式のある日本料理店で下積みするべきか?」について。
調理専門学校の最大のメリットは、普通の生活や仕事をしていても「出会うことができない講師陣や調理師専門学校の人脈」です。
転職サイトなどで和食料理店が求人掲載しており、そちらから仕事先を探すのも1つの手段ですが「企業が経営してる和食料理店」と「個人経営の格式のある和食料理店」は働く目的意識が大きく異なるので、その辺りを解説します。
また、下積みや就職ではなく「和食に興味がある方」には、和食検定やオススメの和食料理本などをご紹介します。
目次
和食料理専門学校のメリット・デメリット
和食料理専門学校というものはなく調理師専門学校に入学し「和食コースを選ぶ」イメージになります。
調理師専門学校のメリットは色々とありますが、冒頭でも述べたように「有名シェフの授業を受けれること、専門学校にしかない就職先を紹介してもらえること」が最大のメリットです。
他のメリットについては「調理師免許は専門学校を卒業してなくても取得可能です」し、独学で学んだり、同期や仲間は就職すればできます。
なので「普段の生活では出会えない人脈」が、調理師専門学校最大のメリットになります。
調理師専門学校の最大のデメリットは「授業料などが高額なこと」です。もし入学をお考えの場合は「絶対に授業料分の内容を身につけて下さい」そうでないと、お金が無駄になります。
また、調理師専門学校を卒業したとしても、一般的な飲食店に就職すれば「専門学校を卒業していない上司の元」で働くこともあります。
ちなみに私は、調理師専門学校を卒業していません。調理師免許も独学で取得しました。
調理師免許を「独学で勉強する方法」についても解説しています
マチバの調理師は18歳から現場で働いており、専門学校卒業者より上司になる可能性が高いです。また、飲食業界は実力主義なので知識や技術を知っていても、しっかり実践で使えないと意味がありません。
『とりあえず専門学校卒業すれば、どうにかなるだろう』のようにお考えの方は注意が必要です。マチバで働くと、お給料を貰いながら料理を勉強できます。
以上のことから、調理師専門学校に入学するポイントは「有名シェフに学べること、専門学校にしかない就職先を紹介してもらえること」といえます。
本気で「料理職人の道を目指す」なら調理師専門学校入学は必須です。
格式のある和食料理店で働くメリット・デメリット
格式のある、または「有名和食料理店」に就職するには、調理師専門学校を卒業するのが一般的です。なぜなら、本気で和食の職人を「目指さない人」は格式のある日本料理店に必要ないからです。
高度な調理技術や調理法を身につけたり、珍しい食材などを知っていると、調理師として一生生活に困ることはないです。なぜなら、マチバなどの飲食店の「簡単な調理法や仕事を容易くこなせる」からです。また、有名店のブランド力は強く、転職や独立出店した後も影響します。
格式ある和食料理店は、料理の伝統と共に「仕事の仕方についても古い体質や制度」が残っています。厳しい縦社会で、礼儀作法やマナーを叩き込まれますが「耐えられない人」は少なくありません。
板前として1人前になるまでに「10年かかる」こともあり厳しい世界です。長時間労働は当たり前ですが、給料に反映されることはほとんどありません。
高い和食技術や知識を学ぶ対価として「労働時間や仕事内容で応える形」ですが、あまりにも厳しい労働環境なので、若い世代の料理人が育たない傾向にあります。
格式高い和食料理店で働くには「調理師専門学校を卒業してることが最低条件」であったりするので、よほどの気概が必要でしょう。
和食店での下積みについて詳しくはこちらをご覧ください
企業が経営してる和食料理店のメリット・デメリット
「企業が経営してる和食料理店」とは、格式ある日本料理店を「利益追求した形」にして店舗展開してるお店です。
*利益追求すると「誰でも調理できるよう」に簡素化されます
転職サイトなどで求人されており、気軽に応募することができます。
企業経営の和食料理店のメリットは、古い体質の上下関係が無く、料理長・副料理長以外は全員同格であることです。もちろん先輩に対しての礼儀は必要ですが、格式高い和食料理店よりは「かなりゆるい」印象です。
*格式ある和食店では「料理長以下に細かい階級(役割)」があります
格式高い和食料理店では「1人前になるまでに10年」の修行が必要でしたが、企業経営の店舗では「新人はなるべく早く多くの業務をこなせるようになること」が目標となり「長い修行期間」はありません。
また、企業経営ということもあり「給料や福利厚生」についても、しっかりとした基準があります。
和食料理店のノウハウを活かして企業が経営する日本料理店は、利益を追求しているので「調理工程が簡素化され生産性を高める」ことに特化しています。
その結果「高度な和食料理技術を学ぶ機会は少なく」高級食材や珍しい食材を使用することも少なくなります。
職人気質な方よりも「立ち回りが上手い人」が出世しやすく、調理技術による実力主義はあまりありません(レシピが統一されてるから)
企業的な役職による店舗内の上下関係は少ない(店長・料理長・一般社員など)ですが、古い職人気質の料理人は同格でも「プライドが高い」ので関わるときは注意が必要です。
格式高い和食料理店のようなブランド力はなく、転職や独立出店したさいに「勤め先の看板」が役立つことは少ないでしょう。
和食検定とは
文部科学省及び国土交通省観光庁が後援していますが国家資格ではありません。
日本の食文化を正しく理解し、伝えるための基礎知識の普及と、和の食文化を継承し発信していくために必要な「専門知識と実務知識の理解度を測るため」の筆記試験です。
和食検定のメリットは「和食検定テキストが経営に役立つ」といわれています。実務テキストでは、部下の育成に向けたスキルが学べます。他にも、和室での振る舞い方やマナーなどを身につけられます。
検定資格は「無いよりかあったほうがいい」ですが、一般的な知名度は低く転職などに活かせるかは微妙です。
和食検定テキストは書店にある?
和食検定のテキストは公式ホームページで販売されています。
こちらからご覧ください
また、一般的な書店では「大きな店舗」にしかないので、通販で購入することをオススメします。
プロおすすめの「和食レシピ本」
わたしが所有している中で、おすすめの和食レシピ本をご紹介します。
一流料理長の和食法典(世界文化社)
一流料理長の和食宝典 私たちへ300レシピの贈り物 (別冊家庭画報)
一流料理人たちが教える「すぐ実践できる本格料理」を掲載しています。
この本があれば「お店が出せる」とさえ感じる1冊となっています。
わたしは「和食の料理人」ではありませんが「見ていて楽しい」料理本です。
レシピだけでなく、調理法や薬味まで細かく解説されている料理本は珍しいです。また、堅苦しい雰囲気がなく写真が多く使われているのも好感が持てます。
是非ともご購入下さい。
和食を勉強するなら料理勉強ノートを作ろう
わたしも長年続けていますが「料理を勉強するならノートを数冊用意する」のがオススメです。
お気に入りのレシピや、実際に作ってみての感想・改善ポイント・他の料理に派生できないか?などを書き込みます。
料理勉強ノートについて、詳しくはこちらをご覧ください
料理を勉強するには何から始めればいい?独学で料理人を目指す方法
まとめ
今回は「和食を勉強するなら下積みか?専門学校か?」について解説しました。
調理師専門学校に進学する段階で「ある程度、どのようなお店で将来働きたいか?」「将来的にどのような調理師になりたいか?」を考えておく必要があります。
転職サイトなどで、企業経営する和食料理店も増えており「どの道を選ぶか?」は、あなたの「将来なりたい自分の姿」で決めるしかありません。
以上のような感じです。
「25〜30歳のような年齢」から中途採用として、格式高い和食料理店に就職することは難しいです。
*②③には転職可能
若い頃に厳しい修行期間を経験しておくと「その後が楽である」こともお伝えしておきます。