飲食業界23年、現役料理長です。
今回は、飲食店でアルバイトとして働いてる時に「何かを壊してしまったら損害賠償されるのか?」について解説します。
ですが「故意に壊した」場合は、全額支払う必要があります。その辺りも詳しく解説します。
目次
バイトがミスして「お皿などを割ったら」弁償?
飲食店でお皿を洗っていたり、洗う前に油汚れで滑って落下など「お皿やグラスを割ってしまう」ことはよくあります。
割ってしまったお皿などは「弁償しなければならない」のでしょうか?
しかし、同じお皿を割るという行為でも「軽微なミス」と認められない場合があります。
例えば、お皿を割ることが「異常に多い」などは賠償請求が認められることがあります。
請求が認められても「損害額の4分の1程度」とされることが多いようです。
一方で、過失ではなく「わざとお皿を割る(故意に)」などの場合は「全額」の損害賠償が認められる場合がありますので注意しましょう。
バイトが「お会計してレジがあわなかったら」弁償?
飲食店ではアルバイトの方でもレジを担当することがあり、お金の問題(過不足)が発生することがあります。
この「レジ金があわないこと」や「カード精算ミス」でも、先ほどのお皿を割った件と同様の扱いになります。
*軽微なミスの扱い
バイトで「レジを壊した場合」は弁償?
飲食店やコンビニなどで使用するレジは最近進化しており「タブレット」の場合があります。
コンビニのレジの電源周りで、揚げ物や豚まんなどの保温機といった機械を掃除するさいに「レジを水没させてしまい壊す」ということがあるようです。
このケースも、先ほどと同様に「軽微なミス」と認められると損害賠償請求されることはないでしょう。
バイト「損害賠償誓約書」を書いたらヤバイ?
飲食店のアルバイトとして働くときに「損害賠償誓約書」を書かされるケースがあります。
「損害賠償誓約書」という名前ではなく「従事契約書」の中に損害賠償誓約について書かれてる場合もあります。損害賠償誓約書にサインした場合、仮に何かを壊したら「損害賠償しなくてはならないのでしょうか?」
なぜかというと「働く前に違約金を決める」のような契約がまかり通るなら、従業員全員が被害者となり得るからです。圧倒的に「雇用主が有利」になってしまいます。
では「従業員は何をしても損害賠償請求されないのか?」これも違います。
ポイントとして、雇用主が「勝手に金額や支払い方法を決める」ことができない点に注目です。
雇用主は従業員を使用して利益を得ており「その従業員による損害は、基本的に雇用主が負担すべき」と考えられます。
バイト損害賠償はいくら位?
- バイトを無断欠勤したから10万円
- 1日遅刻したら3千円
- レジを壊したから10万円
以上のように、雇用主が「勝手に損害賠償の金額を決めること」は法律で禁止されています。
損害賠償額は、度重なるミスの場合は「壊した物の価格の4分の1」故意に壊した場合は「全額」など変わりますが、それらは「裁判」で決まることです。
裁判とは「雇用主が従業員を訴える」わけですが、その裁判費用をかけてまで「安い金額の損害賠償請求すること」はほとんどありません。
雇用主は「労働者に給料の全額を支払わなければならない義務を負う」(労働基準法24条)ため、雇用主がバイト代と損害賠償金額を相殺することは認められていません。
なので、勝手に天引きされた場合は「最寄りの労働基準局に相談」しましょう。
優良な飲食店や企業は「損害賠償保険」に入っている
「損害賠償請求を従業員に出来ない」「負担を従業員に背負わせられない」なら、雇用主は飲食店を経営していく上で、かなりのリスクを背負うことになります。
この損害賠償保険に加入してないケースとして考えられるのは「個人」で経営してる店舗。
毎月の支払い額を抑えたいが為に加入してないケースがあります。なので、アルバイトする時に損害賠償請求について不安があるなら「大手の飲食店でアルバイトする」ことをオススメします。
まとめ
今回は「飲食店アルバイトと損害賠償」について解説しました。
以上のケースで損害賠償請求されるかもしれませんが、雇用主が勝手に金額や支払い方法(給料から天引きなど)を決めることは出来ません。
損害金額が少ない場合は「裁判費用などの方が高くつく」ので、多くの場合は損害賠償請求されないことが一般的です。
雇用主や上司ともめないポイントとして「誠実な姿勢」は問われます。
「バイト先の何かを壊してしまった」「お客様に迷惑をかけてしまった」などは速やかに対応し上司に報告する。バイトを無断欠勤・遅刻したさいは誠実に謝る。
バイト先が合わないなら「辞めること」も1つの手段でしょう。