飲食業界23年、現役料理長です。
今回は、「ホテルの調理師」のキャリアとお給料について解説します。
*年収は総支給額です(「手取り」は個人の家族構成や控除により差があるからです)
目次
「ホテル調理師」給料とキャリアの関係
ホテルの調理師は「調理未経験」では難しく、就職するために紹介や調理師専門学校を卒業する必要があるなど一般的な飲食店とは違う特別な業界です。
調理未経験は調理師専門学校の新卒者くらいで「中途採用で調理未経験者」は応募の段階ではじかれるでしょう(募集の段階で〇年以上の調理経験必要などがあります)
ホテル調理師「見習いは求人が安い」
就職する条件が厳しい業界であると共に、修業段階の若手は…
なぜなら、有名ホテルで長年働くと「ブランド力や調理技術・知識を身につける」ことができるからです。日本料理でいう「料亭や割烹での修行」と近いイメージです。
「ホテル調理師」見習いの就労環境
近年は、修行時代による「長時間労働で薄給・残業代未払い」のようなことを若手の調理師にすると「すぐに辞めてしまう」ので改善傾向にあります。
パワハラやセクハラなども禁止されており、そのような行為が発覚すると「最悪は懲戒解雇」になるなど、以前のホテル業界の悪い風習がなくなりつつあります。
ホテルの調理師の「調理見習い」のような期間は「総支給20万円」のような最低賃金ギリギリであることが多いです(各ホテルの経営スタイルによる)
*ホテルは月給が少なくても「賞与」があるので、基本的に賞与がない「一般的な飲食店」とホテルを「月給で比較する」のは間違いです。
ホテル調理師「役職」に付けば年収400万円前後も可能
ホテルの調理師が「年収420万円」を狙えるのは「賞与」があるからです。
一般的な飲食店は「賞与」が無いことが多く、平均年収「約342万円」(月給28万円前後)になりがちです。なので、一般的な飲食店で多くの給料を得るには「月給」を多く支払ってくれる大手企業で働く必要があります。
ホテル調理師「年収1000万円」は有名ホテルの総料理長クラス
有名ホテルの総料理長になると「年収1000万円」を超えるといわれています。
しかしながら、有名ホテルの総料理長は「1人」であり、全国的に見ても雇われで年収1000万円を超える調理師は少ないといえます。
現実的に年収1000万円を狙うなら「独立開業し店舗展開」するしかないでしょう。
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ホテルの調理師は、日本の少子高齢化による「飲食業界の人手不足」や、外資系ホテルの参入による「実力主義」によりチャンスがある職場の1つといえるでしょう。
帝国ホテルの調理師給料
ホテル業界で、日本を代表するトップクラスのホテルです。
開業は1890年と長い歴史をもつ老舗企業。営業所は東京・大阪・名古屋・福岡などがあり、海外にもニューヨーク・シンガポール・台北・ロンドンなどに進出しています。
しかしながら、年功序列やポジション制度があり「誰でも500万円前後貰えるわけではない」ので、若いうちの苦労は覚悟するべきでしょう。
また、帝国ホテルのような1流ホテルで働くのは誰でも可能というわけではなく、「選ばれた人」のみという点にも注意が必要です。
プリンスホテルの調理師給料
プリンスホテルズ&リゾートは、ホテル業だけでなくゴルフ場も経営しています。
雇用形態も正社員や「契約社員・短期間勤務・土日のみ・副業」など様々な形を取り入れており、時代に対応した企業といえるでしょう。
しかしながら、年功序列や派閥など(ホテルの派閥については最後に解説します)があり、他のホテル同様、若いうちは苦労するでしょう。
ホテルオークラの調理師給料
帝国ホテル・ホテルニューオオタニと並ぶ旧御三家の「ホテルオークラ」
初任給は18〜21万円と「学歴により差」があります。
どこのホテルでも新卒で入社する場合は「調理師専門学校卒業」が必須条件でしょう。即戦力に近い若い人材しかいらないというわけです。
ホテルオークラの平均年収は見つけることができませんでした。初任給はホテルオークラのサイトで見ることができます。

初任給は「18〜21万円」とホテルにしては高く感じますが「30歳までほとんど上がらない」などの口コミがありました。調理技術や知識・スキルが身につくまでは仕方ないとも思えます。
ホテルニューオータニも同様で、新卒採用がメインであり中途採用は知人の紹介がないと難しい印象です。
また、新型コロナウイルスや外資系ホテルの台頭の影響により新卒採用者の人数も減っています。
ホテル調理師「派閥」が給料に与える影響について
ホテルの調理師には「派閥」が存在します。
そして、自分が属する派閥のトップの人が総料理長になると「総料理長は人事権をもっている」ことがあり、自分が役職を任せてもらえる(給料が上がる)可能性が高いです。
調理師として腕を磨くのみならず「先輩との付き合いや立ち回りかた」が重要になるのがホテルの調理師です。この派閥の争いは「飲食業の大手企業に就職する」と同じようなことがあります。
派閥による、付き合いや競い合いのような「人間関係が苦手な人」は、個人の有名料理店や小規模な企業で働いたほうがいいでしょう。
ちなみに、ホテルのオープニングスタッフでは「派閥によるポジションの奪い合い」が激化するので、役職に付いていない一般社員として入社するとツライ目にあう確率が高いです。
調理師の「給料安い」「年収低い」理由
調理師の「給料が安い」のは世間でも有名でしょうか…
料理人(職人)は、多くの給料をもらってる印象です。
それに対して「企業や店舗のレシピをこなす調理師(サラリーマンタイプ)」は「給料が安く」「年収も低く」なります。
日本の料理人(職人)は「精神的・技術的にもレベルが高い」と世界では認識されています。しかしながら、日本の飲食業界では「それに見合う給料を払う企業が少ない」のが現状です。
厳しい修行や下積みが報われないので、街場の居酒屋やファミレスのような店舗を経営する「飲食サラリーマン企業」へホテルの調理師が転職します。
一般的な企業に近い「組織構造」である飲食業の役員幹部は、「ホールスタッフ・店長経験者のことが多く」調理師が役員幹部に出世するのは極めて稀です。
「調理師に役員幹部のポジションがあること自体が珍しい」ですし、ポジションが少ないので、その下の料理長・副料理長のように「下への階層」が多くなります。
日本では「料理人(職人)の評価が低いこと」による転職と、サラリーマン化した調理師の仕事は「労働時間が長い・休みがない」など、労働環境が悪いため「違う業界へ転職してしまうこと」などがループして悪い循環に陥っており、調理師の給料が安いだけでなく「料理人が育たない」という状況になっています。
調理師「ホワイト企業への転職」は実力をつけてから
わたし自身が働いた経験から「飲食業界でもホワイト企業」は存在します。
ただ、先ほど説明したように「サラリーマン化」しており、仕事内容についても「効率化が徹底」されており、正直「調理技術やスキルが伸びる」とは思えませんでした。
ホテルなどで修行された人が「高収入を狙って転職する」には良いと思います。
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