飲食業界23年、現役料理長です。
今回は、料理人を辞めたいとお考えのあなたへ
わたしは、次の仕事を決めずに辞めて「三か月働かなかった」経験があります。
仕事を辞めて3日までは今まで働き続けていたことからの「解放感」があり楽しいのですが、一週間が経過すると「焦り」が出てきます。
しかしながら、一週間以上経過すると『もうどうでもいいや』という投げやりな気持ちになります。貯蓄があったので気が緩んでしまいました。そのあと三か月で貯蓄もすべて使い切ったので働きはじめました…
「時間とお金の無駄」
あなたが、わたしのようにならないように今回はアドバイスしたいと思います。
目次
料理人の末路
料理人としての生き方・末路はだいたい決まっています。
以上が一般的な「料理人の人生」となります。
料理人において「10~20代」は非常に重要な時期になります。この期間に「料理知識・技術」をたくさん身につけておかないと「30代」になった時、スキルやキャリアが無さ過ぎて料理人としてのチカラを発揮することが出来ないからです。
働き盛りの「30代」でしっかり結果を出して、高い給料を取れる状態になっておかないと「40代」で給料が上がることはほとんどありません(統括料理長や上場企業で働いていれば可能)
さらに、40代以上から調理師として社員雇用の求人は減り、少ない募集となり給料も安く設定されます。
なぜ、40代以上の料理人の扱いが悪くなるかというと「年齢により体の動きが悪くなる」からです。なので、働き盛りの30代のうちに「10年後」を見据えた立ち回りが必要になります。
以上が「料理人の末路」となります。
「良い末路」のイメージとして、飲食店を開業し独立・企業で出世などがありますが「独立開業」はスタートでありゴールではありません。経営が上手くいかず閉店することになれば、借金まで背負う可能性があります。
企業で出世しても「飲食業界は不安定」であり業績が落ち込むことも…仮に、業績が落ち込んでしまった場合は「高い給料で生産性の低い人材」は不要でありリストラ対象となります。
以上のことからも、多くの料理人は年下の上司にこき使われ、悪い待遇で企業にすがりつくこととなります。
飲食店を独立開業する目標がないのであれば「違う職種へ転職」を考えるのも1つの方法です。
「板前・料理人はきつい…」辞めたい理由から転職
板前や料理人を辞めたい理由によって「アドバイスの内容」も変わります。なので、料理人を辞めたい理由を探ってみましょう。
料理人は労働時間が長い
飲食業界で働く社員は「労働時間が長い」ことで有名です。
大手居酒屋チェーン店は、何度もブラック企業として訴えられるほど…しかしながら、他の業種であっても、1日の労働時間が9時間(うち1時間休憩)であることは理解しておきましょう。
「学校や病院施設などの調理」は定時で仕事が終わりやすく、料理を作る量も固定されています。一方で「人間関係が重要」になるとの話も…
「学校給食(施設)調理員」について詳しくはこちらで解説しています。
料理人は「労働時間」に対して給料が安い
料理人の労働時間に対して給料が安い理由として「残業代が支払われない」ことがあります。
加えて、飲食業界で年数回のボーナス(賞与)が支給される企業もほぼありません。その結果、料理人の給料は労働時間に対して安くなります。また、若い世代で役職(店長や料理長など)についていないと給料はさらに安いです。
厳しい言い方になるかもしれませんが、飲食業界で10年ほど働き「30代以上で満足する給料が取れない」のは、あなたの仕事内容に問題があるかもしれません。
または「企業の体制」に問題があるので、この先も昇給することは難しいでしょう。
あなたを大切に扱ってくれる他の企業へ転職しましょう。
例えば、ひと月の労働時間が
- 400時間で給料40万円なら「時給1000円」
- 300時間で給料36万円なら「時給1200円」
- 200時間で給料28万円なら「時給1400円」
以上のように、社員であっても「時給で考える」意識は重要です。
さすがに400時間は過労死認定時間を超えているのでないと思いますが「長い時間働いて、多くの給料を貰うのはあたりまえ」だからです。
*仮に、時給1400円の人が400時間働けば「給料56万円」です。社員でも「時給で考える」重要性がご理解いただけると思います。
あなたが「本来貰うべき給料」を計算する方法はこちらで解説しています。穴埋めで簡単に算出できるようになっております。ご活用ください。
*36協定は「残業を認める」ものであり「残業代を支払わなくてよい」契約ではありません。そのあたりも詳しく解説しています。
料理人には理不尽な上下関係がある
以前は理不尽な上司・先輩が多かったのですが「働き方改革」や「パワハラ・セクハラ」が社会問題になっている影響で、飲食業界の人間関係はかなり改善されました。
なぜなら、すぐに「訴えられる」からです
わたしの知人にも「暴力をふるった上司を訴えて慰謝料をもらい退社した人」がいます。理不尽な言動で証拠を残すのは難しい気がしますが「暴力」は論外ですね。
パワハラだけでなく「傷害罪」にあたります。
しかしながら「言動が理不尽に感じるのは個人の価値観」でもあり、他の業種で働いても同じように感じる可能性はあります。
料理人は「深夜の勤務時間」がきつい
朝まで営業のような居酒屋業態では「深夜に働くこと」があります。若い頃は何の問題もなく働けていたのですが、年齢を重ねると深夜勤務はきつくなります。
また、ご家庭を持った場合「子供さんの学校での行事や家族の用事」がお昼にあるので寝る時間がありません。
料理人は休憩時間がない
企業によりますが、飲食店の店の構造上「休憩室もなくキッチン内で休憩」しかも営業したまま…何てことはよくあります。
飲食業界は、まだまだ「待遇が不充分」であり、しっかり休憩できない業種です。休憩できなくても、タイムカードでは「1時間休憩が引かれており」理不尽に感じることでしょう。
料理人は「休みが少ない」
「週1日や月に5〜6日」など、飲食業界の休みの少なさは異常です。
完全週休2日だけでなく「有給消化が義務付け」られており、下手するとひと月の半分が休みのときもありました(笑)
休みの少なさでお悩みのかたは「飲食企業のホワイト企業」を探しましょう。
料理人は「希望した休み」が取れない
休日が少ない場合、せめて希望した日くらい休みを取りたくなります。しかしながら、料理人が希望休暇を取れることは珍しいです。とくに、週末の休暇に関しては上司に怒られるレベルではないでしょうか。
わたしが働いていた企業は、週末の休暇を社員で順番に取得していました。
料理人は「給料が低く将来が不安」
料理人が高い給料を稼ぐには「3つの方法」があります。
- 料理人は実力主義であり企業に長年雇用されていても、何かしらの結果を出さないと給料は上がりません。それは、他の業種でも同じでありますが、飲食業界の怖いところは「飼い殺し」が存在するところです。
「飼い殺し」の状況では「あまり強く怒られない・注意されない」などがあり、働いてる人にとっては「居心地がよく」長年働いてしまいます。
その結果、30代をむかえた頃に「満足な料理知識や技術が無い」ので、転職を考えても「他の企業で通用しない」だけでなく、料理長などの役職にもつけない状況になります。
わたしは「3年を目処に転職を繰り返し」ステップアップしてきました。
料理人は加齢により体の動きが悪くなる
若い世代のかたには理解できないかもしれませんが「30代・40代・50代の料理人」は若い頃のように速く体を動かすことが出来なくなります。
体のあちらこちらにガタがきて「腰痛や足のしびれ・足先の感覚がない」など、料理人として働くことがつらくなってきます。
将来、料理人として「ある程度どのようになっていたいか?」は考えておくべきでしょう。
料理人「ストレスが原因で体調不良」になっている
料理人のなかには、ストレスが原因で「うつ病」や喋れなくなってしまう方がいます。仕事のストレスが原因で、体調不良になってまで企業に残る意味はありません。
*わたしも経験済み
1番大切なのは「あなたの健康・人生」です
「うつ病」は自分で気づきにくいので初期症状をご紹介します。
以上のような症状は危険です。
なるべくご家族と共に過ごすようにし、早く退職して病院に行きましょう。次の仕事も考えなくていいです。
まずは「心身ともに健康になること」を目指しましょう。
病気が理由で仕事ができなくなった場合、雇用保険から「傷病手当」、健康保険から「傷病手当金」を受給できることがあります。
ご家族の方が申請するのが理想的ですが、お一人の方は一人で悩まず「ハローワーク」や「食品健康組合」などに相談しましょう。
調理師辞めた後「次の仕事を考える」
『料理人なんてつらい!辞めてやる!』と、次の仕事や業種も考えないで辞めるのは少し待ってください(健康が理由の場合を除く)
料理人を長く続けてきた場合、料理人として働いたほうがメリットがあります。
料理人のメリットを考える
料理人は技術職であり「調理師免許は国家資格」でもあります。
料理に関する仕事は、飲食店だけでなく「施設や学校・病院や社員食堂」など、料理人が活躍できる場所は沢山あります。
また、技術や知識を磨き独立開業すれば「明日から社長になれる」のも料理人のメリットです。
今の会社では「給料や待遇・労働時間・休日・人間関係の問題」などがあるかもしれませんが、他のホワイトな飲食企業なら、そんな悩みも改善されます(わたしは経験済み)
今の職場が「飲食店の全てではない」と理解しましょう
料理を作ることが楽しいなら他の優良な飲食企業を探して「料理人を続ける道」を選んでみてはいかがでしょうか。
*皆さん探さないだけで「必ず優良飲食企業」はあります
料理人以外の仕事へ転職する
わたしの知人のなかに、料理人を辞め他の業種へ転職した知人がいます。
以上の仕事です。
介護士の需要は年々高まっており、転職先にいいかもしれません。しかしながら、介護士はお金のためだけで働く仕事ではないので適正が問われます。
宅配ドライバーは、将来無人ドライバーやドローンでの配送が提案されていますが、まだまだ時間がかかりそうです。高い給料が期待でき魅力的です。
料理人はつらいと感じることもありますが、知人の多くは料理関係の仕事を続けています。
求人がなければ応募もできません。
転職サイトに希望条件を登録しておくと、新しい求人が出た場合にメールで知らせてくれるので便利です。