飲食店未経験30代でも転職できる?知っておくべきこと

飲食店未経験30代で転職できる? 就職・転職
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飲食業界24年、現役料理長です。

今回は「飲食店で働いたことがない未経験の方が30代で転職できるのか?」また、「転職する際には知っておくべきこと」について解説します。

結論から申し上げますと

飲食店未経験者の30代の方が飲食業界へ転職することは難しいです

難しいですが「絶対に無理」というわけではありません。

30代飲食店未経験者が転職を考える際に「狙うべき企業」や知っておいた方がいい「飲食業界の内部事情」を解説します。

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飲食店の正社員はきつい

飲食店での仕事は「基本的に肉体労働」です。

1日中立ちっぱなしで、かなり忙しいお店なら「動きっぱなし」の経験があります(休憩時間はあります)

また、肉体的な疲労だけでなく「人間関係で悩む」人も多いのが実情です。

飲食店の人間関係は、上司(店長や料理長)の人柄や経験・考え方で大きく左右されます。

詳しくはこちらをご覧ください

飲食店の人間関係がつらい…最悪な上司・先輩アルバイト・パートの対処法

加えて、飲食店正社員「待遇のきつさ」もあります。

飲食店正社員の待遇とは、給料や労働時間・公休や残業・有給申請など。

一般的な企業の例をご紹介しますと

飲食店社員の一般的な待遇

  • 給料は最低賃金(未経験なので)
  • 労働時間は1日9時間(うち1時間休憩)以上
  • 公休はひと月5〜8日
  • 残業代は契約により支払われないことがある
  • 有給申請が通るか有休消化できるか?は企業による

以上のような例が一般的です。

労働時間は「1日9時間(うち1時間休憩)」が基本ですが、ランチ営業や深夜営業を行っているお店や企業ではもっと長くなるでしょう。

残業代については、雇用契約する際に「残業代は基本給に含む」とされてることが多く、企業によっては長い時間働いても残業代が支払われないことが多いです(ブラック企業)

ひと月の公休(企業に認められた休み)日数は、わたしの働いた経験では5〜8日と企業によりバラツキがあります。

なぜ、労働時間や公休日が『企業によってバラツキがあるのか?』というと、飲食店の多くが「変形労働時間制」を採用しているからです。

一般的なお仕事(週休2日・土曜祝祭日休み)とは働き方が大きく違うので飲食業界へ転職を考えるなら知っておきましょう。

飲食業界の労働時間や残業代について詳しくはこちらをご覧ください

飲食店の労働時間と残業代36協定?誰でもわかるカンタン解説

飲食店未経験者の「正社員の給料」については次の項目で詳しく解説します。

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「未経験で飲食店正社員」について

この項目では、飲食店未経験者の「給料」や採用される為に「狙うべき企業」「採用されるコツ」などを解説します。

飲食店未経験社員の給料はどれくらい?

「飲食店未経験でも可」「経験不問」のような飲食店企業では、どれくらいの給料がもらえるのでしょうか?

多くの企業では、最低賃金(お店のある地域の)だと思われます。

例えば、最低賃金が時給1000円なら日給8000円。公休6日で労働日数24日であると、19万2000円となります。

そこに、固定残業代としてプラス3万円として「22万円前後」ではないでしょうか。

22万円前後から厚生年金や保険料、市民税などが引かれると「手取り17万円前後」になります。

「基本給に残業代を含む」と「残業代は別途支給」は、全然契約内容が違うので求人広告をしっかり見ておきましょう。

「基本給に残業代を含む」条件で求人している企業は、一瞬「給料が多い」と感じるかもしれません。しかしながら、ランチ営業・深夜営業を行っており「労働時間の長さ」に対する残業代を含んでいることが多いです。

一方で、「残業代は別途支給」の企業は、基本給のみ表示してるので「給料が少ない」と感じるかもしれません。このような企業は、労働時間に対してシビアであり「残業代が発生しない」月もあります。

求人内容の「給料や残業代・労働時間」から、企業の体質を推測することができます。

飲食未経験で採用されやすい企業とは

30代の飲食未経験者が採用されるには「企業選びが重要」になります。

狙うなら「大手で有名な飲食企業」です

なぜかというと、大手で有名な飲食企業は利益を追求しており、効率の悪い「調理や仕込み・作業」が無く「人材により仕事効率が左右されない」構造になっているので飲食店経験があまり必要とされません。

企業によっては、キッチンに包丁が無いところもあります。ここでの注意点は、そのような企業に就職した場合、「料理のスキルがまったく身につかない」ことです。

『料理を覚えて、将来独立開業したい!』人には向かないといえます。

料理のスキルを身につけるには「小さな個人店」がおすすめです。しかしながら、個人店は資本力が弱いので給料面では期待できません。

個人店でも店舗展開(3店舗前後)してる企業では、料理のスキルと給料面も期待できます(将来的に)

1店舗しかない個人店で働くには「知人の紹介」がメインになります。また、お客様として通い続けて『働かせてほしい』とお願いするのもいいでしょう。

ホールスタッフとして働きたい方も同様です。

飲食業界では40代以上の求人が極端に減り、企業によっては「飲食店経験があっても40代以上は採用しない(公式発表はしてませんが)」方針のところがあります。

なので、30代のうちにある程度の「ビジョンを描いておく」必要があります。

詳しくはこちらをご覧ください

飲食店30代転職で考えることは1つだけ「10年後のビジョン」

飲食店未経験でも採用されるコツ

飲食店未経験で採用されるコツは「知人の紹介」です。

先ほども少し述べましたが、とくに個人店の場合は知人の紹介がメインとなるでしょう。

『ずっと飲食以外の仕事をしてきたから知り合いがいない…』そんな方は転職エージェントを利用しましょう。

転職エージェントは、あなたの目的や今までのスキル・経験を加味して就職先を探してくれます。

知人の紹介のデメリットは、思い描いていた仕事内容や待遇じゃなくても「簡単に仕事を辞めれない」ことです。

なので、最近では余計な気を使わなくて済む「転職エージェント」を利用する方が増えています。

また、飲食店未経験で採用されるには「やる気」が必須になります

飲食業界における「30歳」の人は、18~20歳から働き10年以上も修業してるので料理やホール業務で「出来ないことが無い」店長や料理長クラスです。

30代未経験で飲食業界で働くには、彼らよりも何倍も努力する「やる気」が必須でしょう。

30代「未経験の転職飲食店」覚悟すべきこと

この項目では、30代で飲食店勤務未経験の方が転職を考える時に「覚悟すべきこと」について解説します。

店長や料理長(上司)などが年下の可能性

まず、あなたの上司となる店長や料理長が「年下である」ことが考えられます。また、若くして店長や料理長の役職についてる人は「勢いがある人」が多く言動がきついかもしれません。

一方で、大手企業では「パワハラやセクハラに関してしっかり教育」されているので、厳しい暴言は少ない印象です。このような観点からも、飲食店未経験者は大手企業がおすすめです。

失敗を恐れない行動力

飲食店で働くことが始めてだからといって『失敗を恐れてなかなか行動(仕事)出来ない…』これは、最も怒られるパターンです。

なぜなら「仕事は遅い、仕事内容も悪い」となるからです

最初から上手くできるわけがない(仕事内容が悪い)のは上司も予想して仕事を与えています。ですので、失敗を恐れずどんどん仕事(行動)していく姿勢が好まれます。

また、上司のスタイルによっては『ゆっくりでもいいので丁寧にしてほしい』という方もいます(遅すぎると結局は怒るのですが…)

言い訳をしない

週末や祝祭日の飲食店は、とんでもなく忙しい場合があります。

そのような状況では、上司が間違えた指示をした結果あなたが怒られたり、あなた以外のスタッフのミスであなたが怒られることがあります。

その際に『いや、上司に指示されたとおりにしました』『わたしの責任ではありません』など言い訳をすると、さらに厳しく怒られることがあります。

『ああ、上司でも間違うのだな。パニックになって周りが見えてないのだな』くらいに考えましょう。

なぜ、理不尽なことでも言い訳をしないのか?

お客様は「料理やサービスを待っています」言い訳をしたところで、料理やサービスを早く提供できるわけではありません。なので、その瞬間は「料理やサービスを早くお客様に提供する」ことだけを優先すべきなのです。

*「理不尽なことばかり言う上司」の場合は転職しましょう。その上司は「仕事が出来ない」可能性が高いです

 

また、あなたがレシピとは違う分量で料理を作った場合、必ず上司にはバレます。

なぜなら、料理に「言い訳は出来ない」からです

料理は、塩が多いと塩っからくなりますし、砂糖が多いと甘くなります。

料理は基本的に「足し算」なので味を引くことは出来ません(水などの液体を増やすと可能ですがバランスは崩れます)

なので、料理人を目指すなら普段の暮らしから「言い訳をしない」という姿勢が重要になるのです。

「言い訳をしない」に関してはホールスタッフでも同様です。お客様が不快に感じた場合、いくら言い訳してもお客様の機嫌が良くなるわけではないからです。

理不尽なことを「我慢できないタイプ」の方は、飲食店社員として働くとつらいかもしれません。

女性が働きやすい飲食正社員の条件

結論から申し上げますと、女性には飲食店正社員になることをあまりおすすめ出来ません。

女性に飲食正社員おすすめ出来ない理由

  • 基本的に肉体労働
  • 長い労働時間・休みが不定
  • 男性社員の割合が多い
  • 妊娠や出産、育休などの福利厚生が弱い

以上の理由で、女性に飲食正社員はおすすめ出来ない訳ですが、逆に考えますと「それらの理由を解決してくれる企業なら問題無い」といえます。

1つずつ解説します。

飲食店は「基本的に肉体労働」

この記事の前半でも述べましたが、飲食店は基本的に肉体労働です。

また、キッチンでは重たい調理器具(鍋やフライパンなど)を使用して料理を作らなければなりません。

ホールでも、多くのドリンクやお皿を一度に運ぶためには筋力が必要になります。

体力に自信がない女性は、他の職種を選ぶのが無難かもしれません。

長い労働時間・休みが不定

飲食店は肉体労働だけでなく「労働時間が長い」ことでも有名です。

また、ディナータイムの営業は17〜23時前後が一般的であり、深夜営業のある店舗では朝の5時まで働くことも…

ご家庭のある女性の場合、旦那様やお子様の世話をする必要もあり「夜型の仕事である飲食店」は不向きといえます。

一方で、「ランチタイム」のみの出勤で可能なお店の場合や「ウェディングプランナー」のようなお仕事なら問題ないでしょう。

休みが不定で週末はほとんど出勤が続くと「一般的な職業の友人と遊べない」「恋人とすれ違いの生活になる」ことも多く婚期が遅くなることも…

大手の飲食企業なら「完全週休2日制で有休消化もあり」「週末の休みも社員交代であり」などしていたためオススメです。

男性社員の割合が多い

飲食業界は肉体労働や長時間労働、重たい調理器具や食器を使用する、公休が不定など労働条件がきつい理由から「男性社員比率が高い」です。

結果的に、男社会の中で少ない女性社員は働くことになります。

店長や料理長などの上司は、一般男性社員と同じように女性社員にも接するでしょう。

上司に悪気はないのでしょうが、女性にはつらいと感じるような「言葉や迫力」で怒られている様子を目にしたことがあります。

一方で、大手企業では「男性社員と女性社員の比率を近づけよう」としてる印象がありました

正社員の男性比率が気になる方は「大手飲食企業」がオススメです。

飲食店は「妊娠や出産・育休」などの福利厚生が弱い

飲食店企業で、妊娠や出産のための休暇や育休が認められているところは少ない印象です。

出産や育休だけでなく他の福利厚生も弱く「賞与が無い」「退職金が無い」などが飲食業界の現状です。

どのような企業には福利厚生がしっかりあるのか?

大手飲食企業では福利厚生がしっかり整っている印象です。

応募する段階や面接時に質問しましょう。

「居酒屋バイト」30代でも雇用される?

飲食店未経験の方が社員雇用されるのは難しいなら「アルバイト」なら大丈夫なのでしょうか?

残念ながら未経験の方は、アルバイトでも社員雇用と同様に難しいと思います。

しかしながら、アルバイトもすべての飲食店が雇用しない訳ではなく、企業や店舗を選べば雇用してくれるところもあります。

ですが、30代で飲食店アルバイト勤務は「将来のことを考えるとかなりリスクが高い」

30代からアルバイトスタッフとして修行を積み、40代目前で晴れて社員雇用『あれ?社員になって給料減ってない?』なんてことはよくある話です。

飲食店は労働時間が長いので「アルバイトの方が稼げる」場合があります。

基本的に飲食店社員は、店長や料理長など何かしらの役職に就かないと給料が安いです。

「独立出店するために料理を覚えたい」など、お金以外の明確な目標が無い方には飲食店で働くことはおすすめ出来ません。

まとめ

今回は「飲食店未経験者が30代で社員になれるのか?」について解説しました。

ポイントをまとめます。

30代飲食店未経験者が社員雇用されるのは難しいので「雇用されやすい企業を狙う」必要がある

雇用されやすい企業は、調理システムなどが構築されている「大手企業」か個人で経営してる飲食店

30代で入社すると「上司や同僚が年下である」可能性が高いのでプライドを捨てる覚悟が必要

30代でスキルアップ出来ないと、40代以上は求人の数が少なくなる(雇用しない企業もある)

40代を見据えると「独立出店する」「企業で出世を目指す」など明確な目標が必要

飲食店未経験でアルバイトで働くときも同様である

以上がポイントとなります。

「お金稼ぎ」だけが目的なら飲食店で働くことはおすすめしません。きっとすぐ辞めてしまうでしょう。

効率よく稼ぐなら、給料の高い「工場勤務や警備員・配達員」などがおすすめです。

豊かな人生をお過ごし下さい。