飲食業界23年、現役料理長です。
今回は「接客の心得」について解説します。
現在わたしは料理長ですが、個人店で雇用されていた時はホール業務も兼任していました。
「調理師だから接客は関係ない」という訳ではありません。
なので、ホールスタッフのみならず調理師でも「接客について知っておく」ことが大切です。
目次
接客で大切なこと
料理長として働いてると『料理が美味しいとお客様から言われましたよ!』とホールスタッフがキッチンに報告してくれることがあります。
興味深いのは、その報告してくれるホールスタッフは「いつも同じ」であるということ。毎回同じホールスタッフということは、料理を作ってるのはわたしなので「接客で味が変わっている」と推察されます。
美味しい料理を提供しても「接客が悪かったら台無し」になります。逆に、普通の料理でも「接客で美味しく感じる」ことでお客様にとって楽しい時間となります。
心が動くと言葉が出ます『料理美味しかった、ありがとう、楽しかった、また来るね』など。
- よくあるミスは「マニュアル接客に頼る」こと
- よくあるミスへの対処法は「マニュアルを体得し・人間味を出す」ことです。
接客の心得
「身だしなみ」や「言葉づかい」「立ち振る舞い」など、基本となる部分は「マニュアルとしてルール化」することができます。
しかし、お客様一人ひとり好みや状況も違うので、ホールスタッフとしての経験やシュミレーションを重ねて「お客様の側に立った接客」を目指します。
今はネットで買い物するのが当たり前の時代です。
難しい言葉で色々と書きましたが、接客について考えるなかで大切なことは「自分がお客様として、されて嫌なことはしない。されて嬉しいことはする」これが接客の心得の基本だと思います。
- よくあるミスは「お客様にあわせすぎる」こと
上っ面だけ「お客様にあわせる」のではなく、お客様の状況を察して「最適な対応をする」必要があります。
- なので、上っ面だけの接客でよくあるミスへの対処法は「自分がされて嫌なことはしない。されて嬉しいことはする」という基準をもつことになります。
ここまでをまとめます。
上記のように、接客の心得のポイントは「接客サービスという目に見えない事柄をリストアップしたり、書き出したりして文章化(目に見える状態)すること」です。
自身の接客サービスを文章化し、目に見える状態にすれば「目標設定や反省」がしやすくなります。
接客の心得を理解できましたら次に、接客の基本「5原則」を身につけましょう。
接客の基本「5原則」
お客様への接客に対して「されて嫌なことはしない。されて嬉しいことはする」が接客の心得の基本ですが「接客マナー5原則」というものがあります。
接客マナー「表情」
『目は口ほどに物を言う』といわれるように、接客において「表情」はとても大切です。
飲食店の接客では「笑顔や愛想の良い表情」が好まれます。無表情の人に接客されると、少し怖くないですか?
お客様の心をほぐすには「まず自分の表情をほぐす」必要があります。
- よくあるミスは「笑顔が不自然」なこと
- よくあるミスへの対処法は「鏡で練習する」
「笑顔の作り方」の練習方法について詳しくはこちら
接客で自然な笑顔が出ないときは鏡の前でコレをチェックしてみて
接客マナー「挨拶」
接客での「挨拶」のポイントは「表情」より簡単です。
席への案内やレジ清算、お見送りを担当するスタッフは「お客様の目を見て」しっかりと挨拶すること(その後にお辞儀)が大切です。
口だけの挨拶には「心がこもってない」ので意味がなく、下手すると「お客様を不快にさせる」こともあります。
- よくあるミスは「お客様の目を見てない口だけの挨拶」をすること
- よくあるミスへの対処法は「お客様の目を見て挨拶する」こと。
接客マナー「身だしなみ」
飲食店スタッフにとって「身だしなみ」は非常に重要です。ホールスタッフのみならず、キッチンスタッフも同様です。
「ボサボサの髪型・ヒゲはのびてる・ネイルやピアス・アクセサリーをジャラジャラ付けている・ダボダボの服装・ボタンをとめていない」などは、だらしない印象を与えます。
個人の身だしなみを管理できてないスタッフが『食材管理・店舗管理などできるのか?』という疑念をお客様に持たれることでしょう。
*店舗によっては「アットホームさ」を売りにしてるところもあります
- よくあるミスは「オシャレや個性を出しすぎる」身だしなみ
- よくあるミスへの対処法は「清潔感のある身だしなみ」
接客マナー「話し方」
簡単そうで難しいのが「話し方」です。
敬語で話すのが基本ですが「二重敬語」になったりおかしな日本語にも注意が必要です。
また「ゆっくり・はっきり」と話し、飲食店の「業界用語のような難解な言葉」「流行語やカタカナ言葉」を使うのはNGとされています。
お客様との会話のなかで、お客様が間違った情報を話していても「否定してはいけない」ということもあります。
- よくあるミスは「1夜漬けの言葉づかい」
- よくあるミスへの対処法は「普段から綺麗な言葉づかいを心がける」意識をもつこと。
接客マナー「態度」
「無視・無愛想・無関心・無礼」などの態度は問題外ですが、お客様によっては不快な態度に感じることがあります。不快に感じる態度には、お客様に対して「敬意を持って接する心がない」場合があります。
態度は良くしてるのですが『内心で小馬鹿にしている』と説得力が感じれないのです。
よくあるミスは「心から接客できてなく」態度に出ていること
よくあるミスへの対処法は「お客様に対して敬意をもつ」こと。
接客が上手い人の特徴
長年を飲食業界で働いてますが「接客が上手い」と感じた人は片手で数えるほどです。そして、店長や社員より「アルバイトの方のほうが上手かったり」します…汗。
接客はマニュアルのみではなく「人間性が重要」です。そんな「接客が上手い人の特徴」をお伝えします。
接客の「基礎」ができている
接客の基礎ができているとは「接客マニュアルを完全に理解している」といえます。厳しい店舗や企業で修行して、接客の基礎を身につけています。
言葉遣いが普段から綺麗
接客が上手い人は「普段から言葉づかいが綺麗」な印象です。先ほども述べましたが、言葉づかいを綺麗にするのは難しく「普段から意識する」ことが大切です。
普段から気が利く
言葉づかいと同様に「普段から気が利く人」は接客に向いています。
普段から気が利く人は、生活の中で「相手が求めている物や言葉などを提供する」という訓練になっています。本人にとっては、そんな性格なので苦にならないのでしょう。
天性の素質といえます
傾聴力・洞察力が高い
また、気が利く人は「相手にあわせた接客」ができます。傾聴力・洞察力が高いことと関連しています。
「相手の求めることを提供」したり「相手にあわせた接客」など、「相手(お客様)」メインが接客の基本ですが、しっかりと自分の信念があり「自分の意見を言える」のも接客が上手い人の特徴です。
自分の意見・信念がある
接客マニュアルに従いながら「相手にあわせた行動や言動をしつつ、自分の意見やスタイルを伝える」という、かなり高度な接客です。
「マニュアルのみの人、相手にあわせっぱなしの人」って、悪くはないのですが「つまらない印象」を与えます。
自分の意見や信念により、接客にスパイス的な意味を持ち「その人にしかできない唯一無二の接客」になります。この自分の意見などが多過ぎると「お客様から嫌われる」こともあり、かなり高度な接客となるのです。
誰からでも学ぶ姿勢がある
接客が上手い人は「誰に対しても敬意を持っている」印象です。他人を見下したりせず、誰からでも学ぶ姿勢が伺えます。その心理的根底には「他人に対して関心がある」という素質を感じます。
接客を楽しんでいる
接客の仕事のみならず「仕事を楽しんでる」人って強いです。
同じ作業でも「言われたからやってる、嫌々やってる、仕方なくやってる、楽しんでやってる」などの心情の違いにより結果は変わります。
「やりがいのない仕事」なら辞めたほうがいいかもしれません。
まとめ
今回は「接客の心得」について解説しました。
以上が「接客で大切な心得」になります。
接客の基礎やマニュアルを体得して、お客様にあわせたサービスを提供しつつ、自分の意見や考えを綺麗な言葉づかいでほどよく伝え、他人には真似できない「唯一無二の接客」をする。
そして、その接客を楽しんでできれば最高です。
接客は「目に見えないサービス」なので文章化し「目標設定→行動→反省」することにより、前向きに楽しみながらスキルアップを目指しましょう。
一方で、あまりにも「接客の仕事に対して適正がない…」と感じた方は、接客に向いてないので違う仕事を検討しましょう。