飲食店の「仕事がきつい理由」ホール・キッチン・店長・バイトなど職種別に完全解説

飲食店の仕事がきつい理由 キッチンの仕事
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飲食業界26年、現役料理長です。

今回は、「飲食店の仕事がきつい理由」を解説します。

この記事で理解できること

  • 飲食店の仕事がきつい理由
  • なぜ飲食店はブラック職種になりやすいのか?
  • ホール・キッチン・洗い場など職種ごとにきつい理由
  • 店長・社員・アルバイトなど立場ごとのきつい理由
  • 飲食店仕事がきつい職場は飲食業界のすべてではない

以上の点について解説します。

*読みたいところだけ目次から選んで頂いてもかまいません

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飲食店の仕事がきつい理由

まず最初に「飲食店の仕事」全般的にきつい理由を解説します。

飲食店の仕事がきつい理由

  • 長時間労働
  • 休日が少ない(取れない)
  • 肉体労働で体力的に疲れる
  • サービス業の仕事柄、人間関係で精神的に疲れる
  • 給料が安い(サービス残業が多い)
  • 人手不足で1人あたりの仕事量が多い

以上の点が、飲食店の仕事できつい理由として有名です。

飲食店の仕事がきつい理由を箇条書きにしましたが、さきほどの理由は全てつながっています。

例えば

  • 「長時間労働」が原因で「体力的にきつい」
  • 「長時間労働」のわりには「給料が安い」
  • 「人手不足」で「休日が取れない」
  • 「人手不足」が原因で1人あたりの仕事量が多く「人間関係がギスギス」している

以上のように飲食店がきつい理由は繋がっており、企業が職場環境を改善しない限り永遠にきついのです。

それでは、なぜ飲食店はきついブラック職種になってしまうのでしょうか?

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なぜ飲食店はブラック職種になりやすいのか?

飲食店がブラック職種になりやすい理由

  • 変形労働時間制により残業時間があいまい
  • 飲食店は利益率が低い
  • 「飲食店従業員が犠牲になること」の常習化
  • 無意味な中間管理職の存在

以上の点が、飲食店がブラック職種になる理由です。1つずつ解説します。

変形労働時間制により残業時間があいまい

飲食店従業員は、一般的なサラリーマンのように土日祝日が休みではなく、変形労働時間制が採用されることが多いです。

1か月単位の変形労働時間制は、ひと月31日あった場合177時間の労働でそれ以上は残業代が支払われます。

しかしながら、飲食店は雇用契約の段階で「〇〇時間の残業代を含む」といった形が一般的で、従業員は勘違いして『いくら働いても残業代は貰えない』と思いがちです(とくに若い従業員)

「〇〇時間」以上を働いた場合は、本来なら残業代は支払わなければなりません。

変形労働時間制を悪用してる飲食店企業は多くあるので注意が必要です。

なぜ、企業は残業代を意図的に未払いにするのか?

未払い残業代が発覚したとき、国による罰則のほうが残業代を支払うより安いからです。

こちらで、あなたが本来貰えるはずのお給料を計算してみてください。

飲食店の労働時間と残業代36協定?誰でもわかるカンタン解説

飲食店は利益率が低い

飲食店経費の内訳は

  • 人件費
  • 食材費(ドリンク含む)
  • 家賃
  • 販促広告費
  • ガス電気水道費
  • 消耗品費(洗剤、トイレットペーパーなど)

以上のようになり、これらの数字は毎月ほとんど変動しません。

加えて、月により「減価償却費」や「修理費」などが必要になるケースもあります。

飲食店の経営には、何かと経費が必要であり利益率が低いです。小売店では商品を仕入れて売る形ですが、飲食店は「商品を作る」ところにも人件費が必要というイメージです。

*飲食店の商品=料理やドリンク、座席のセット、掃除や衛生管理など

しかしながら、先ほど紹介した経費の中で企業のさじ加減で「変更できるものが1つだけ」あります。

人件費です

飲食店従業員に対して「未払いで残業をさせると利益は確実に増えます」

「飲食店従業員が犠牲になること」の常習化

飲食店の利益率を上げるためのもっとも簡単な方法は、社員に対して「未払いで残業をさせること」です。

そして、この「飲食店従業員が犠牲になるシステム」が、長年常習化しているのが飲食業界の問題点でもあります

*一部の上場企業や有名ホテルでは健全な運営がなされています

飲食店従業員が犠牲になるシステムは「未払い残業代」が問題なのですが

もっと問題なのは企業幹部や経営者が「従業員が犠牲にならないと利益を上げることが出来ない」というシステム以外の「利益構造を作れない」ことです

「無意味な中間管理職」の存在

従業員が犠牲になるシステムの利益構造しか考えられない中間管理職や経営者は、たいした経営ビジョンや才覚も無いのに「犠牲になっている従業員より多くの報酬」を得ています。

また、彼らがいる限り、現場で汗水流して働いてる従業員の給料が上がることはありません。

なぜなら、組織はピラミッド型だからです。

社長は企業の責任を背負う存在なので必要ですが、エリアマネージャーや統括部長のような実益を生まない存在は利益率の低い飲食業界ではネックになっています。

*残業代が支払われたり、しっかりした組織で「中間管理職が機能してる企業」は問題ありません

 

以上のような営みが長年続けられた結果、飲食業界にはブラック企業・職場が多く誕生しました。

ちなみに、私は若い頃『なぜ飲食店はこんなシステム(長時間労働・未払い残業)なのですか?』と当時の料理長に質問した経験があります。

その料理長からの返答は『飲食業界はそんなものだ』という答えで詳しい考察や意見を得ることが出来ませんでした。

今思えば、当時の料理長は『自分の給料を確保するため』とは答えられなかったのだと理解できます。

私が現役料理長の立場で当サイトでこのような発信をすることは、もしかすると自分の首をしめることになるかもしれません。

しかしながら、従業員が犠牲になる(とくに若い世代)利益構造やシステムは見過ごすことができません。

「頑張って働いた人は報われるべき」です。

また、経営者や発言力のある管理職の立場の人が「健全な利益構造」を作るべきだと考えています。

ホール・キッチン・洗い場など職種ごとにきつい理由

飲食業界における「きつい理由」以外にも「ホールやキッチンなど職種」により「きつい」と感じるシチュエーションがあります。

飲食店ホールスタッフがきつい理由

飲食店ホールスタッフがきつい理由

  • 店長が横暴できつい
  • クレーム・酔っ払い対応がきつい
  • 拘束時間が長く立ち仕事がきつい
  • お客様の入店や混雑が予想できないからきつい

飲食店ホールスタッフがきつい理由として、1番つらいのは「店長の横暴・理不尽さ」です。

パワハラが問題視されるようになり改善傾向にありますが、未だに横暴で理不尽な店長は存在します。

また、理不尽なクレームや酔っ払い客の対応もホールスタッフのきつい理由の1つです。

酔っ払い客の対応は店長や上司がすることが多いです。しかしながら、飲み過ぎてトイレや店内でお客様が酔っ払い「嘔吐した場合」掃除するのは一般社員が対応することが多い印象です。

詳しくはこちらをご覧ください

飲食店での酔っ払いの対処方法。事を大きくせずに済む解決方法は?

 

拘束時間の長さや立ち仕事、お客様の入店時間や混雑(ピークタイム)によるきつさはホール・キッチン・洗い場スタッフみな同じです。

飲食店キッチンスタッフがきつい理由

飲食店キッチンスタッフがきつい理由

  • ピークタイムが忙しくてきつい
  • キッチンスタッフは力量が明確に分かるのできつい
  • 仕込みから営業終了まで働くので労働時間が長くてきつい
  • 人手不足により仕事量が多くてきつい

飲食店キッチンスタッフは「ポジション制が一般的」で仕事が出来る出来ないが明確になります。

*ポジション制…前菜・揚げ物・ストーブ前(コンロ)・デザート・板場などのような各ポジションを1人や決められた人数で働くこと

なので、ピークタイムの忙しさを「こなすことができない」と上司に怒られたり失望されることがあります。

また、キッチンスタッフはホールや洗い場スタッフより「早く出勤し仕込みから働くことが多く」労働時間が長くなりやすいです。

さらに、人手不足によりキッチンスタッフ1人に対する仕事量は飲食店の仕事の中で年々多くなっています。

キッチン業務は包丁やフライパンを使う「技術職」でもあり、簡単に未経験の誰かで補うことが出来ないからです。

技術職であるキッチンスタッフは、もっと給料を貰うべきだと個人的には思います。

飲食店洗い場スタッフがきつい理由

飲食店洗い場スタッフがきつい理由

  • 水仕事による手荒れがきつい
  • 洗い場はスピードが求められてきつい
  • 洗い場は「マイペースに働ける」と思ってるときつい

洗い場スタッフの手荒れについては、ホールやキッチンスタッフも同様によく問題になる事柄です。

手荒れしないようにゴム手袋を使用するのですが「使い方を間違えるとかえって手荒れがひどくなる」点に注意が必要です。

詳しくはこちらをご覧ください

皿洗いバイトを上手にこなすコツと手荒れしない知恵

 

洗い場のお仕事は洗い物するだけなので「マイペースで出来る」と思われがちですが、スピードと効率的に洗えるかを求められます。

『洗い物するだけなら楽勝でしょ♪』と軽い気持ちで働くとギャップを感じて「きつい仕事」になるでしょう。

飲食店「店長・社員・アルバイト」立場ごとのきつい理由

次に、飲食店の店長や社員、アルバイトの立場できついシチュエーションについて解説します。

飲食店店長のきつい理由

飲食店店長のきつい理由

  • 中間管理職という立場がきつい
  • 利益率を求められるのがきつい
  • 店長自身もワンポジションで働きながら部下に指示するのがきつい
  • ホール業務だけでなく数値管理・書類提出などがきつい
  • 部下が言うことを聞かないときつい

企業に雇われている店長は店舗責任者でありますが中間管理職であり、上手く立ち回れない方は企業と部下の板挟みになります。

企業からは利益率を求められますが、部下が言うことを聞いてくれない、自分都合なシフトを提出してくるなどがあると飲食店店長の労働時間は増え休みが少なくなります。

さらに店長は、自身がホールのワンポジションで働きながら部下に指示を出したり、ホール業務以外のパソコンを使用した数値管理・書類提出などの業務もこなさなければなりません。

とくに、「部下が少ない店舗で働いてる店長」の仕事量はかなり多くなります。

詳しくはこちらをご覧ください

飲食店の店長の仕事内容ってハード?休日はどれくらいある?

飲食店社員がきつい理由

飲食店社員がきつい理由

  • 仕事が出来ない上司はきつい
  • 上司のパワハラ・セクハラがきつい
  • 希望公休を出しづらいのがきつい

飲食店社員は「仕事の出来ない上司の部下」になってしまうと後の出世にも関わるのできついです。

「仕事が出来ない上司」の部下になるのは珍しい状況ですが「中小企業の飲食店」ではあり得ます。

仕事の出来ない(結果を出せない)上司は、要領が悪く部下の立場から見ていてもストレスがたまります。

加えて、自身の効率の悪さを部下の責任にするパワハラや八つ当たり、セクハラも常習的に行っていたりとどうしようもない上司です。

また、仕事が出来ない上司ほどシフトに口うるさい印象があります。

上場企業のように「利益構造が明確な企業」では、仕事が出来ない上司はあまりいません。パワハラ・セクハラについても解雇や左遷という厳しい罰則があります。

飲食店アルバイトがきつい理由

飲食店アルバイトがきつい理由

  • 飲食店スタッフは覚えることが多くてきつい
  • 優先順位をつけて働くことに慣れるまでがきつい
  • 肉体労働なのできつい
  • ベテランアルバイトの存在がきつい
  • 週末や祝日に出勤を求められるのがきつい
  • 仕事の覚えが悪いとシフトに入れないのがきつい

飲食店アルバイトは、ホールやキッチンでも覚えることが沢山あります。

ホールスタッフならメニュー名を全て暗記する必要がありますし、座席の番号、ハンディー(注文をとる機械)の使い方、一つの料理に対してナイフやフォークなどのセッティングなども覚えなければなりません。

また、記憶だけでなく接客やコミュニケーション能力を身につける必要があります。

キッチンスタッフは、料理名はもちろんのこと、食材の名前、調理工程、仕込み工程、盛り付け方、1つの料理に対するお皿などを覚える必要があります。

また、技術面では包丁、フライパン、フライヤーなど調理器具の使い方や火加減なども覚えなければなりません(店舗による)

現役料理長の私から見ても、学生など「他にやるべき事」のある人たちが飲食店でアルバイトとして働くのはきついと思います。

飲食店「仕事がきつい職場」が飲食業界のすべてではない

飲食店のきつい理由を、職種や立場など色々な角度から解説してきました。

しかしながら、勘違いしてほしくないのは「あなたが働いてるお店(企業)が、飲食業界のすべてではない」ということ

長年を飲食業界で過ごしてきた私の経験では、同世代のアルバイトの人が多く、頻繫に遊びに行ったり、仕事は体育会系の部活ノリで楽しかったり、店長や料理長が楽しく優しい人でしっかり面倒を見てくれたり、他の厳しい上司からは「今を頑張れる経験」を与えてくれたりと良い想い出が多いです。

どんな職場や上司・同僚に巡り合うかは、ハッキリいって「運です」

運を上げる方法として「あなたを大切に扱ってくれない職場では働かない」ことをおすすめします

良い思い出がある一方で、『来月から給料減らす』と突然いわれたり、ひと月300時間以上の労働で残業代未払い、他のスタッフと同様の行動で私だけ理不尽に怒られたりなど、飲食店で働きながらきつい目にもあいました。

私が飲食店従業員で「きつい時」どう行動したか?

すぐに辞めました(笑)

「自分の扱いの悪い職場では働かない」

*明らかに自分に非がない場合

色々と悩んでる人は「仕事を辞める」という行動が出来ない印象を受けます。

文句いいながら働いてる状況って最悪です。

なぜなら、不満のあるスタッフは「生産性が低くなる」からです。その生産性の低さが上司のストレスとなり「また怒られる」…という負のループになってしまいます。

現在のお店がきつい状況なら、飲食店は日本中にたくさんあるので「あなたに合うお店や企業」を探しましょう。

飲食業界が合わないと感じる人は「他の業界に転職する」のもいいでしょう。

他の業界を経験して『やっぱり飲食業界がいい!』となり戻ってくる人も多く見てきました。

すべての経験は無駄ではありません。

若い人たちには、まだ分からないかもしれませんが「色々な経験」が後々役立つのです。

1番良くないのは「何もしない(変化しない)」状況

きつい・つらいと嘆くなら行動あるのみです。

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